1)骨吸収抑制薬投与患者の後ろ向き研究 長崎大学病院と関西医科大学附属病院において高用量の骨吸収抑制薬が投与されている患者139例を収集し,MRONJ発症に関わる因子について解析を行ったところ,投与期間と局所感染症状の有無の2つの因子が挙げられたが,骨吸収抑制薬投与後の抜歯はリスク因子から脱落した.現在さらに多数例を収集するべく,(一社)日本口腔ケア学会共同研究委員会(委員長.梅田正博長崎大学教授)の協力を得て,前向き観察研究として同様の研究を開始している.
2)骨吸収抑制薬投与患者の摘出骨の検索 摘出された骨組織から病原性微生物の有無についてreal-time PCRで検索を行っている.検体数はまだ少数であるが,真菌を含めさまざまな口腔常在菌の存在が証明されている.さらに休薬期間と局所の骨代謝,骨芽細胞の形態について検索を行っている.検体数が少なく統計解析はまだできないが,BMAの投与期間が重要であり,長期投与例ではビスフォスフォネート,デノスマブとも3~6か月程度の休薬を行っても破骨細胞活性は回復していないことが示唆される結果が得られている.今後症例数を増やして検索を進める予定である.
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