研究課題/領域番号 |
18K17292
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
泉 繭依 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (40589181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 最大呼気流量 / 舌圧 / 舌清掃 / 舌骨上筋群 |
研究実績の概要 |
本研究では、「舌の清掃が咽頭周囲筋および脳に及ぼす効果」について明らかにすることを目的として、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアの意義を宿主要因の観点から科学的根拠に基づいて確立させることを目指している。 これまで、文献検索によって、高齢者の嚥下機能を維持する為には、嚥下の起こりやすさを保つこと、つまり、嚥下筋の筋力や可動域を保つことが重要であり、嚥下筋の中でも、舌と舌骨上筋群の重要性を明らかにしている論文が多いことがわかった。 本研究では、2019年までに3施設の介護保険施設において要介護高齢者を対象とした舌清掃の介入研究を実施した。1年間にわたって舌の清掃を実施した群においては、最大舌圧の低下が抑制されることが明らかとなった。また、舌の清掃を実施した群の最大呼気流量も抑制できていることが明らかとなった。最大舌圧と最大呼気流量が高い者は、そうでない者と比較して栄養状態は良好であった。 健全な成人に対する予備調査において、延べ20名の舌骨上筋群の筋電図測定を行った。まずは、表面筋電図計が舌骨上筋群の動きを適切に測定できているかを証明するためにの調査を実施した。シャキア訓練等の舌骨上筋群のトレーニングとして推奨されている訓練を実施している時の表面筋電図を測定した結果、筋活動は著明であり正確に測定が可能であった。舌の清掃を行っている間の舌骨上筋群の筋活動を測定したところ、表面筋電図にて活動が明らかとなった。1年間の舌清掃介入においては、舌圧の維持と共に、舌骨上筋群の維持低下抑制ができていると考えられ、本調査にて確認をする段階まで到達できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つの介護保険施設における1年間の介入研究は、施設入所者のご家族が頻繁に来所されないことから、同意書の取得に時間を要した。その後、介入期間の調整や施設スタッフへの介入方法の指導を複数回行ったことから、調査実施が遅れた。また、表面筋電図の測定を正確なものにするために、測定の技術取得と、専門家による指導が長期間行われた。その効果もあり、表面筋電図機械の不具合も明らかとなり、修理調整に時間を要した。筋電図測定介入調査の準備ができたところで、コロナウイルスの影響により施設への訪問が閉ざされており、今後の調査の見通しは難しい状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
健全な成人に対する予備調査において、延べ20名の舌の清掃を行っている間の舌骨上筋群の筋活動を測定したところ、表面筋電図にて活動が明らかとなった。 1年間の舌清掃介入においては、舌圧の維持と共に、舌骨上筋群の維持低下抑制ができていると考えられ、これを明らかにする為、高齢者を対象とした本調査にて確認をする段階まで到達できたと考えている。しかし、コロナウイルスの影響により施設への訪問が閉ざされており、今後の調査は、影響が少し治まってから実施を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者を対象とした本調査の実施が遅れていることから次年度使用額が生じている。本調査実施に必要な消耗品等の購入に用いる。また、対象施設までの交通費、調査結果の発表等に用いる予定。
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