研究課題/領域番号 |
18K17308
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研究機関 | 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)) |
研究代表者 |
石川 智基 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 主任研究員 (90802661)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NDB / 医療政策 / レセプトデータ / 医療管理学 |
研究実績の概要 |
研究初年度、2年目においては、分析対象とするデータベースの利用環境整備・研究対象の定義、及びリサーチクエスチョンに応じた分析を実施し、学会報告および論文による成果報告を行ってきた。3年目も引き続き、分析を進めるとともに成果報告を進めた。 第一に、画像診断に関する需給状態の評価を目的とし、NDBと公的統計である医療施設調査を用いた需給分析を行なった。NDBから求めた日本全国のCT・MRIの実施件数と、医療施設調査から二次医療圏別の機器台数を合わせて、地域医療別の配置水準と利用水準の関係を明らかにした。第二に、NDBの個人IDの追跡技術を活用し、一人当たりの年間CT・MRIの利用回数を求めた。人口の約80%がCTあるいはMRIを利用していることが明らかとなった。更に、ほとんどの患者が年間に1回はCTやMRIを利用している中で、年間50回以上を超える患者がいることが明らかとなった。 以上の結果を学会などで報告する一方、NDBには撮影部位に関するコメント情報が欠損しているなどの限界点が指摘された。このような種々の限界を克服するために、県や自治体の保険者からレセプトデータやKDBデータの提供を受け、より詳細なデータ分析を行うフェーズへと移行した。 合わせて、これまでの研究データを地理情報システム(GIS)を用いた可視化やシミュレーションによる地理空間情報を組み合わせた分析を予定していたが、前述の自治体レセプトデータの提供等に時間を要したため、進捗が停止している。 従って研究期間を1年延長し、GISを組み合わせた分析を進めるとともに、論文や学会にてその成果を報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、医療計画を立案する際の基礎資料提供および分析手法の提案である。これまでの研究実績については、主に利用する公的統計やデータベースを用いて、有効な分析手法や可視化の方法を検証し報告してきた。 2020年度において、本研究に関連する内容として、国際誌に3編、Misc2編、学会報告・講演を4回実施していることから、研究は順調に進展していると評価できるが、地理情報システムを利用した需給分析については、入手するデータの選別や対象地域の選定に時間を要しており、当初の予定を終了していないため延長するに至った。 一方で、自治体レセプトデータを用いた分析についても、研究課題として取り込んだことにより、よりローカルな施策や課題を研究テーマとして取り扱うことが可能となり、2021年度はこれらのテーマに注力していきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施できなかった空間情報を利用したGISによる可視化手法を提案する。また、医療機器の配置や共同利用計画は、地域医療構想で協議する内容となっており、公的統計や自治体データを使用した分析結果を各自治体に還元することは、医療資源の配置を検討する資料として意義深いと考える。医療資源の共同利用や配置にかかる各課題の各論に対し、データに基づく提言を進めていくために、NDBや自治体レセプトデータの利用可能性を検証していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究内容として、空間情報を利用した可視化やアクセシビリティシミュレーションを行う予定である。これらの分析を行うためのGISソフトウェアや、道路情報データ、ワークステーションの購入を行う。また、学会発表、および論文投稿などの成果報告にかかる費用として使用予定である。
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