研究実績の概要 |
本年度は,H29年度に作成した学習者の互恵的相互依存を測定する尺度(SOcial interdependence in Collaborative learning Scale:SOCS)を元に,協調学習方略を用いた多職種連携教育(IPE)における相互依存を明らかにする研究を実施した。 多職種連携グループワークを行った医学,看護,作業療法,理学療法,臨床検査の4専攻の4年次生(n=259)に,多職種連携学習に関する尺度(Readiness for Interprofessional Learning Scale:RIPLS) 日本語版とSOCSを回答してもらい,それらの因子間における共分散構造分析(SEM)を実施した。 228名(88%)から回答があり,SOCSの3因子,RIPLSの2因子を用いてモデル化を行ったところ,x2 = 2.396 (p = 0.302), CMIN/df = 1.198, CFI = 0.999, RMSEA = 0.030, and TLI = 0.996と良好なモデルが得られた。 このモデルでは,means → interprofessional collaboration以外の全てのパスが有意であり, Boundary interdependenceとoutcome interdependenceは interprofessional collaborationと interprofessional identityに正の関係を示した。一方, means interdependenceはinterprofessional identityと負の関係を示した。一般に協調学習において課題の真正性が好まれるが,職種細分化させると逆に多職種としてのアイデンティティ形成を阻害するという,いわば「IPEのジレンマ」が存在することを示した。
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