研究実績の概要 |
研究対象である協調学習が、コロナ禍によって従来の形式では行いづらくなり、同時にオンライン環境での実践が急速に広まるようになった。そこで、今年度は計画に若干の変更を加え,オンライン環境での協調学習を探索することにした。 R3年度前期にS大学でTeam-based learning(TBL)形式授業を受講した医学科生(n=124)のうち、参加同意を得た者を対象にした。対象者をランダムに二群に分けたクロスオーバーデザインを採用し、一方は対面環境のあとオンライン環境へ、もう一方はオンラインのあと対面環境で、それぞれ本授業に参加した。各環境での学習前後で、申請者らが開発した相互依存評価尺度(SOCS; Shimizuら,2020)の回答結果を比較した。さらに、オンライン環境において互恵的相互依存に影響する要素について学生にインタビューし、テキストを逐語録化した上でテーマ分析法で質的に検討した。対面授業を実施する際は大学の感染対策指針を遵守した。 SOCSのスコアの伸長度は、対面環境とオンライン環境で有意な差を認めなかった。社会的相互依存の3因子についてサブ解析したところ、手段(means)は両環境とも有意な伸長を示したが、境界(boundary)は対面群でのみ伸長を認めた。目的(outcome)は両群とも変化を認めなかった。質的分析では、オンライン環境で互恵的相互依存に影響する要素として、コミュニケーション、課題分担プロセス、他グループへの意識、学習作業環境の4つが挙がった。 この研究成果を英文誌に投稿し、R4年4月末現在で査読中である。
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