研究課題
本研究の目的は我々が開発した寝たきり度を用いた院内転倒予測モデルを多施設前向き研究で検証すること、また日本の公的なADL指標である日常生活自立度と他のADL・認知症の客観的指標との関連性と、日常生活自立度の評価者間信頼性を明らかにすることである。実施機関である社会医療法人祐愛会織田病院と佐賀市立富士大和温泉病院で研究チームを立ち上げ、また医療イノベーション推進センター(TRI)と共同研究契約を締結した。2018年9月からデータ収集を開始し、2019年11月末にデータ収集を完了した。以後データの抽出作業、データ整理を進め、2020年4月より解析を実施した。日常生活自立度の一致率は寝たきり度、認知度ともに70%程度であり、評価者間信頼性の指標も良好な結果であった。寝たきり度、認知度とBarthel Index、Katz Index、MMSE、ABC Scaleは有意な相関関係(p<0.001)を示した。これらの結果は第117回日本内科学会総会・講演会で発表し、第12回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で発表予定である。また日常生活自立度の評価者間信頼性と、Barthel Index、Katz Indexとの相関に関する研究論文(原著)はBMC Geriatricsに掲載された。転倒予測モデルについては、全集団での予測モデルのAUCは0.79と高い精度であったが、一部のサブグループでAUCが0.7未満となり、今後は医療機関ごとの多様な背景を考慮し、さらなる検証と開発が必要である。これらの結果は、第118回日本内科学会総会・講演会、SGIM Annual Meeting 2021で発表した。研究論文については現在執筆作業を進めており2021年内の英文学術誌への掲載を目指している。本研究により、我々の院内転倒予測モデルと日常生活自立度の有用性が証明された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
BMC Geriatrics
巻: 21 ページ: 168
10.1186/s12877-021-02108-x
PLOS ONE
巻: 15 ページ: e0236130
10.1371/journal.pone.0236130