今年度は,昨年度の課題を踏まえ,回帰不連続デザインにより,交絡を調整した上で,リハビリテーション(以下,リハ)の密度(一日のリハ時間)と退院後の医療費と再入院率についての関連について検討した. 具体的には,一日当たりの単位数が患者一人当たり6単位以上実施されている場合に算定できるリハ充実加算が施行された2011年4月時点での効果推定を回帰不連続デザインで検証した.以下に,研究実績の概要について述べる. 方法の概要:対象者は2005年1月から2017年12月までに脳卒中の診断がある患者143203名とした.アウトカムとしては,退院後1年間の医療費とした.なお,レセプトデータは,株式会社JMDCより提供を受け,本研究は,神奈川県立保健福祉大学研究倫理審査委員会の承認を経て実施した(承認番号:保大第71-27).効果推定の回帰モデルの当てはめとして,[Y|Z]=β0+β1(Z-c)+β2I(Z>c)+β3(Z-c)I(Z>c)とし,このときのβ2の値を閾値における因果効果をした 結果の概要:リハ密度におけるβ2は,0.75単位(p=0.059)であった.退院後一年間の医療費におけるβ2は,199758円(P=0.64)であった.単位数に関しての上昇と比較すると退院後1年間の医療費は連続していた. 今年度の研究の結論:本研究結果より,回復期リハ病棟でのリハ密度は、退院後の医療費と関連がない可能性が示唆された.しかしながら,これらの研究結果において,最終的なサンプル数が600名程度と少ないこと,患者の重症度がわからないため,個々の重症度における関連性が不明であることなどの限界がある.今後は,患者特性に応じたリハ密度についても検証が必要であると考えられる. なお,上記研究結果については,加筆・修正を加え,現在,国際紙に投稿中である
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