研究課題/領域番号 |
18K17326
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤井 比佐子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (70545194)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マッチングシステム / 健常人 / リクルートメント / 臨床研究 |
研究実績の概要 |
①研究者に対してニーズ調査を行い、必要性や要望されるシステムなどの情報を収集する:オンラインサーベイならびに紙媒体アンケートを使用して、学内研究者を対象に健常人対象の臨床研究の実施状況、並びに「おおさか臨床試験ボランティアの会」の活用状況を調査した。101名の研究者より得た回答によれば、現在健常人対象試験を実施している研究者は13名で、その症例数(予定含む)は概算で3,700例と予想より多く、健常人対象の試験が活発に行われていることがうかがえた。また、現在計画している研究者は6名、これまでに実施した経験がある研究者は21名であった。当学の「おおさか臨床試験ボランティアの会」の活用率は低く、上記合計のべ40名の研究者のうち本会を活用したのはわずか8名(20%)であることが判明した。募集方法に苦労したあるいは不安がある、との回答もあり、本会を整備して、研究者に十分活用してもらえるようなシステムにすることは大変意義があるものと考えられた。 ②米国のATRI(Alzheimer's Therapeutic Research Institute)で開発され現在使用されているリクルートメントシステムAPT Webstudyの仕組みと利点を調査する:ATRIは認知症に特化した研究施設かつAROである。この度、リクルートメントシステムAPT Webstudyに関して情報交換をすることが出来た。認知症分野では近年プレクリニカル期の被験者にて実施する研究が多く、健常人のリクルートメントシステムの検討に役立つ情報を収集することが出来た。 ③ポータルサイトの構築:会員用画面、研究者用画面を開発し、それぞれがポータルサイトの中で、ある程度自由に検索したり情報を得たりできるようなサイトを現在開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたタスクは、①研究者に対してニーズ調査を行い、必要性や要望されるシステムなどの情報を収集すること、②ResearchMatchの仕組みと利点を調査すること、③本学では「おおさか臨床試験ボランティアの会」のシステムを改良すること、④会員向けサポートを充実すること、⑤会員、並びに研究者がより活用できるような会へ発展させること、である。 これまでに①が終了、②と③は順調に遂行中である。②についてはResearchMatchの情報収集はできていないが、それとは異なるAPT Webstudyのシステムの仕組みと利点を調査収集できたことは非常に有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主目的は、このボランティアパネルを改変することによりマッチングシステム構築をすることが可能かどうかを探り、プロトタイプ構築を行うことである。初年度の活動結果より、研究者が多くの健常人を必要とする研究を実施していることが判明した。我々が管理している「おおさか臨床試験ボランティアの会」を改変することにより研究者の求めるリクルートメントシステムを構築することは価値あるものと推察される。 今後の研究の推進方策としては、上記【現在までの進捗状況】に記載の③の「システム開発」がキーとなると考えている。あたらしく作成する予定のポータルサイトについては、研究者が自身で会員の属性を検索、抽出できるもの、計画段階で情報を収集し、リクルートにかかる費用・時間などを管理できるもの、さらには、リクルート状況がタイムリーに確認しうるもの、と考えている。システム開発を加速し、2019年度には使用性評価まで行いたい。 また、個人情報の観点から会員情報の保護・管理方法が重要と考えており、これについては、別途サーバーを構築するか、あるいは当院内電子カルテネットワーク内で「おおさか臨床試験ボランティアの会」データベースを管理することを検討中である。現在は外付けHDDで管理をし、使用時にはネットワークから完全に遮断しているが、この後者の方法が実現すれば、当院のイントラネット内で管理することができるため、システム的にもセキュリティ的にも現行の方法よりかなり優れた仕組みになることが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費:物品費はデータ管理サーバーや管理用の端末、その周辺機器のために計上していたが、購入に至らず、次年度に持ち越しとなった。当院イントラネットを活用する場合においては、サーバーは不要となる可能性が高いが、ファイル管理システムなどのソフトウェアが必要となることを想定している。 旅費:2018年度の旅費はResearchMatchの情報収集のために計上していたものであったが、2018年度にはATRI訪問を行ったため、予定施設への訪問が持ち越しとなった。そのため、2019年度に使用する予定である。2019年度は、これと国内出張(学会)とを計画している。 その他:本年度はシステム開発費(委託)にとどまり、構築費用は次年度発生する見込みである。また、データベースへのデータ入力にかかる費用が発生する見込みである。
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