効率的に臨床研究を実施するためのリクルートマッチングシステム開発の妥当性の検討

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K17326
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 藤井 比佐子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (70545194)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: マッチングシステム / 健常人 / リクルートメント / 臨床研究

研究実績の概要

実績①ポータルサイトの開設：昨年度にだれでもアクセスできる公開サイトを作成し、動作確認まで進んでいたが、開設までには何度も不具合とその解消を繰り返し、2020年12月にポータルサイトのオープンに至った。研究者用画面、会員用画面を開発し、それぞれがポータルサイトの中で、ある程度自由に検索したり情報を得たりできるように設計した。当初からの目標どおり、研究者、会員共にログイン画面（マイページ）を作成して個人ごとにカスタマイズされた情報を提供することを可能とした。研究者のマイページには、自分が登録した臨床研究がリストされ、参加者数などの情報を閲覧できるようにした。
会員のマイページでは、自分の健康状況や興味に基づく研究募集一覧を表示できるようにした。条件に合致する臨床研究情報を会員へ連絡する方法としてマイページでの表示にて行うことは可能となったが、メールによる情報伝達も継続検討中である。また参加申込をした研究については、現在の本人ステータス（申込中／承認済／臨床中／終了／審査中／中止）が確認できるように設定した。また参加した研究については、終了後本人の結果などが示されたレポートなどの情報を開示できるよう設定した。
実績②研究者の登録推進：ポータルサイトをオープンし、研究者2名(学内1、学外1)を登録した。また、学内研究者への普及啓発方動を開始した。
実績③オープン後のトップページアクセス数は、1月：265回、2月：353回を確認し、ポータルサイトの活用による臨床研究リクルートメントの有用性が期待できた。しかしながら、今年度、紙ベースとwebベースのサーベイを実施した際には多くの紙ベース回答が得られた（紙：357人、web：91人）ことより、インターネット環境で情報収集をすることに慣れていない会員も多いことが考えられる。多くの会員にwebシステムの活用してもらえる方法を継続検討中である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初のシステム設計に加えて昨年度より当院内電子カルテネットワーク内で「おおさか臨床試験ボランティアの会」データベースを管理する検討を開始し、今年度にこの構想が実現することになっていたが延期された。進捗は遅れ気味であるが、次年度にはセキュリティの高いデータベースへの本格的な移行が出来る見込みである。これにより本データベースのシステムの完成度は高まるものと考えられる。

今後の研究の推進方策

プロトタイプがまずは完成したので、今後はこのシステムを維持するための業務内容／量、スタッフ数などの確認と検証を行い、実務運用に値するものであることを確認していきたいと考えている。研究者にはニーズに応えられた内容になっているかどうかの確認をサーベイ実施などにより行う予定である。また多くの会員にwebシステムを活用してもらえる方法を継続して検討する。
当院内電子カルテネットワーク内へ「おおさか臨床試験ボランティアの会」データベースを移行する準備も始めており、速やかな移行を目指す。

次年度使用額が生じた理由

物品費：データ管理サーバーや管理用の端末、その周辺機器のために計上していたが、当院イントラネットを活用することとなったため、サーバーは不要となる可能性が高く、ファイル管理システムなどのソフトウェアが必要となることが想定される。
旅費：2020年度は国内または国外出張（学会）が出来ない1年となったため、すべて次年度に持ち越しとなった。
その他：データベースへのデータ入力業務が発生する見込みである。（その他から人件費に変更となる可能性あり。）業務の遅延により2021年度に持ち越しとなった。