研究課題
薬学生が患者中心の医療を意識した臨床能力を身に付けられる教育プログラムを開発することを目的として、実務実習履修前後の薬学生と現役薬剤師を対象とした模擬医療面接に関するワークショップを複数回開催してきた。2020年度では、これまでに行なった模擬医療面接の会話内容を基に、The Roter Method of Interaction Process Analysis System (RIAS)を用いた会話分析を行ない、さらに、ラポールの構築、アドヒアランス、薬効モニタリング、副作用モニタリング、服薬に関する説明、解釈モデル・不安への対応、これらに値する発話内容に対して実務経験別に比較した。また、患者の発話に対する薬剤師役の頷きや、患者へ向ける視線の回数などの非言語行動についても解析し、医療面接評価のためのルーブリックを作成した。発話内容を解析した結果、4年生の発話では服薬に関する説明が多く、一方的な情報提供を行う傾向が見られた。一方、薬剤師は服薬によって生じる体への影響に関して具体的な例を挙げながら説明をしており、患者からの情報収集に重点を置いていることが分かった。また、非言語行動について薬剤師と学生を比較すると、薬剤師は頷きの回数が多く、患者への共感、傾聴の姿勢が見られた。この様に、いくつかの点で学生と薬剤師の言語的及び非言語的な違いが抽出できたので、これらの結果を加味して医療面接評価のためのルーブリックの観点と基準を設定した。本ルーブリックを学生に示して事前学習を行ない、医療面接の実技試験の評価表として用いることで、エビデンスに基づいたより効果的な教育に繋がり、具体的且つ客観的な評価が可能となると考えている。
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