研究課題/領域番号 |
18K17339
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
大野 裕美 豊橋創造大学, 保健医療学部, 准教授 (60639607)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ピアサポート / がん相談支援 / がん診療連携拠点病院 / 質の担保 / がんピアサポーター |
研究実績の概要 |
2018年度は、がん相談支援体制におけるピアサポートの実態調査を47都道府県と全国437箇所のがん診療連携拠点病院に実施した。質問紙調査の結果として41都道府県(87%)、250箇所のがん診療連携拠点病院(57%)から回答が得られた。 まず、都道府県の状況として回答の得られた41都道府県のうち14都道府県はこれまでピアサポーター養成研修を実施したことがないことが明らかになった。また具体的な相談活動の状況(相談内容・相談件数・相談記録の管理等)を把握していないことが示された。今後の推進に向けては、ピアサポーターの人材育成・コーディネーターの配置等、実用的に運用できる仕組みを求めていた。 次に、全国のがん診療連携拠点病院の状況として、回答のあった250病院のうち116病院が院内ピアサポートを導入しており134病院は未実施であることが明らかになった。未実施の理由は、「病院として導入に積極的でない」「ピアサポーターの人材不足」などが挙げられた。そして、未実施の病院は広報活動をしていない傾向にあった。推進に向けては都道府県同様、ピアサポーターの人材育成・コーディネーターの配置等、実用的に運用できる仕組みを求めていたが、「利点が感じられない」「他施設でピアサポーターに対するクレームが数多くあるため導入は考えていない」等の回答もあった。 ピアサポートをがん相談支援のなかで運用していくにあたって、一律の規定がない現状下でピアサポートが担う相談範囲の設定、ピアサポーターの育成レベルをどこに設定するか等の質の担保の課題、そしてその仕組みをどのように構成していくか、今後の重要な検討課題が本調査から示された。これらを踏まえて、2019年度は「がん相談支援におけるピアサポート推進にかかわる影響因子の抽出」を進めていくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、がん相談支援体制の概況調査から課題を抽出することで、ピアサポートの質保証に関係する影響因子を解明し、がん相談支援におけるピアサポートの位置づけを発展させることである。よって、2018年度は、がん相談支援体制の概況調査から課題を抽出するための全国調査として都道府県・がん診療連携拠点病院を対象に質問紙を実施することを挙げていたが、当初の計画通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2018年度全国調査から明らかになったピアサポートの課題をもとに、「がん相談支援におけるピアサポート推進にかかわる影響因子の抽出」を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
統計処理にかかわるアルバイトを雇用する予定であったが、2018年度は一次分析で終えたため、統計ソフトを活用して研究代表者本人が実施したことにより、その分の費用支出が浮いた。2019年度は、影響因子の抽出を行っていくため、2018年度の余剰額は、その費用に充てていく予定である。
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備考 |
得られた知見の社会貢献として、本研究課題である「がん相談支援におけるピアサポートの質保証の検証」にかかわる調査結果を随時、ホームページで公開していく。
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