研究課題/領域番号 |
18K17341
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
渡邉 雄一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東アジア研究グループ, 研究員 (20450538)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 医療格差 / 韓国 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、韓国における個人・家計の医療費支出や医療アクセス頻度の不平等度を所得水準や年齢階級別に測定し、その格差を構成する要因分解を行って韓国の医療格差の実態やメカニズム、経年変化を定量的に解明することである。韓国は日本と同様に国民皆保険制度のもと、診療報酬体系を敷いて患者の医療機関へのフリーアクセスを保障している。ただし、日本とは異なり保険診療と保険外診療を併用できる混合診療が容認され、民間医療保険も発達している。そうした制度設計が、経済力の差によって同じ医療ニードでもアクセスできる医療サービスに格差をもたらしているのではないかという問いに答えるべく、本研究では「韓国医療パネル調査」の個票データを用い、経済学的な分析手法を応用して韓国における医療格差を実証的に明らかにする。もって、今後の医療政策の方向性を検討するとともに、高齢化の進展で先行する日本の医療政策への示唆を導出する。
具体的には本研究では「韓国医療パネル調査」の個票データを用いて、韓国における医療格差の度合いを測定するとともに、それを所得水準や年齢階級、健康状態などに応じて要因分解することで、その実態やメカニズム、経年変化を定量的に解明する。分析手法には、格差の構成要素となる要因分解から寄与度を算出できる平均対数偏差(Mean Log Deviation: MLD)と呼ばれる手法を応用して、韓国の医療格差を実証的に明らかにする。初年度である2018年度には、データ分析に必要なコンピュータやStata等のソフトウェアの購入を行った。分析に用いるデータについても、韓国保健社会研究院(KIHASA)が提供する「韓国医療パネル調査」の個票データを入手し、現在は分析用にデータセットの構築を行っている。また、医療経済学や韓国の医療制度・政策に関する関連文献・資料等を購入し、先行研究や分析手法の整理を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析に必要なコンピュータやソフトウェアの購入、医療経済学や韓国の医療制度・政策に関する関連文献・資料等の購入を終え、今後の分析に用いる韓国の個票データについても入手できているため。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目には、引き続きデータセットの構築や先行研究のサーベイを進めるとともに、韓国でのヒヤリング調査等を通じて、研究課題の論点整理や分析手法に関する理解を深めていく。そして、基本的な統計解析等の実証分析を進めていきながら、論文の執筆に取りかかる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に調達予定であったノートPCやソフトウェア、図書・文献等の購入を行うには当初の交付額では不足するため、前倒し支払請求を行った。
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