研究課題
本研究では、医療・介護ビッグデータ(レセプトデータ)を用いて、心身機能の低下した入院高齢患者における退院直後の再入院の実態を把握するとともに、退院前後のケアに関わる医療・介護サービスが退院直後の再入院予防に与える効果を明らかにする。急性期病院でリハビリテーションを受けた後に自宅などへ退院した75歳以上約3万名分のレセプトデータを分析し、医療保険制度で提供された退院支援サービスが与える退院直後の再入院への抑制効果を検討した。その結果、退院直後に再入院した退院患者は974名(2.8%)で、特徴として入院前に在宅医療で治療を受けていた人、入院中に一日あたり多くのリハビリテーションを受けていた人、フレイルのリスクが高い人が退院直後の再入院発生率が高かった。また、退院計画、退院時リハビリテーション指導、地域ケアとの連携など、すべての退院支援サービスは退院直後の再入院に対して抑制効果が認められなかった。欧米では、退院計画・セルフマネジメント指導・地域ケアとの連携・退院後のフォローアップなどを組み合わせた「移行期ケアプログラム」の退院直後の再入院抑制効果が報告されている。今後、わが国の医療保険制度においても、個々の退院支援サービスをパッケージ化した移行期ケアプログラムの開発と退院直後の再入院への抑制効果の検証を行う必要があると考えられた。本研究成果は、「Archives of Physical Medicine and Rehabilitation」に掲載された(2020年1月)。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation
巻: 101 ページ: 832-840
10.1016/j.apmr.2019.11.019