研究実績の概要 |
1)終末期高齢者の救急、集中治療の診療実態解明における大規模レセプトデータの有用性検証: 職域保険被保険者のレセプトデータを用い、65歳以上高齢者のレセプトの死亡転帰情報の妥当性を検証した。対象は65~74歳、2012年9月-15年8月の期間中の全登録者3,710,538人の内45,441人とした。死亡をレセから同定する感度は、入院94.3%、外来47.4%、特異度98.5%と99.9%と、入院死亡情報の妥当性は高いが、外来レセの記録のみから得られる死亡情報の使用は推奨されない。(Environ Health Prev Med. 2019 Nov 23;24(1):63.)
2)NDBサンプリングデータを用いた終末期高齢者の救急、集中治療の経年変化の検証: NDBを用い、終末期高齢者の診療実態の経年変化を検討した。H24年から26 年にかけ、死亡前7日間の心肺蘇生術(CPR)、人工呼吸(MV)、中心静脈栄養カテーテル挿入(CVC)、ICU入院の割合は、CPR: 11.0%から8.3%、 MV:13.1% から 9.8%、 CVC:10.6%から7.8%、ICU:9.1% から 7.8%に減少していた。( Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 3135)
3)NDB特別抽出データを用いた終末期医療の地域差研究 NDB特別抽出データを用い、本邦における地域差に起因する終末期医療のばらつきを解明し、質均てん化に向けた研究が必要と考えられた。本研究では、特別抽出データを用い、マルチレベルモデルを作成し、年齢75歳以上の入院例、1年分の医科レセプトのデータ解析を実施した。解析にはマルチレベルロジスティックを用い、死亡前30日間の心肺蘇生術、人工呼吸、ICU入院の実施状況とその地域格差を解析した。(公表前のため、結果値公表不可)
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