研究課題
これまでの疫学研究から、胎児期の発育遅延が成人期の肥満やメタボリックシンドロームなどの慢性疾患の危険因子になるというDevelopmental Origins of Health and Disease(DOHaD)仮説が提唱されている。胎児期の発育遅延の一つに受動喫煙がある。胎児期の母の受動喫煙曝露による生後の発育への影響の論文は多数あるものの、結果が一致していない。一致しない背景の一つに母児の遺伝要因が考えられた。そこで胎児期の母の受動喫煙曝露と児の7歳までの発育との関係に影響を及ぼす遺伝子多型の関与を解明することを本研究の目的とした。胎児期の母の受動喫煙曝露が7歳までの発育に及ぼす生物学的な機序の糸口を示し、受動喫煙による生体への影響を明らかにすることを目指して本研究を実施した。出生前向きコホート研究「環境と子どもの健康に関する北海道研究(北海道スタディ)」の母児504組を対象に、母の異物代謝酵素および受容体遺伝子(GSTM1(Ins/Del)など)の10遺伝子多型(SNPs)および児の肥満遺伝子(FTO(rs9922619)など)の10SNPsを解析し検討した。母児の遺伝型を考慮しない場合、胎児期(妊娠中期~後期)の非喫煙者と比較して、受動喫煙者の1歳半から7歳までの児の体重は小さかった。特定の母のGSTM1(Ins/Del)遺伝型と児のFTO(rs9922619)遺伝型をもつ場合、胎児期の非喫煙者と比較して、受動喫煙者の1歳半から3歳までの児の体重は小さかった。しかし、1歳半から7歳までの児の体重に対して、胎児期の母の受動喫煙曝露とGSTM1(Ins/Del)遺伝型およびFTO(rs9922619)遺伝型との交互作用は認められなかった。本研究で検討した20SNPsについては、胎児期の母の受動喫煙曝露との交互作用が児の7歳までの発育に影響を及ぼさなかった。
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Springer Nature
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10.1007/978-981-15-0520-1_19
BMJ Open
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https://www.cehs.hokudai.ac.jp/
https://www.cehs.hokudai.ac.jp/hokkaidostudy/