研究課題/領域番号 |
18K17350
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 章子 東北大学, 大学病院, 助教 (50723912)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マンモグラフィ検診 / カテゴリー分類 / 過剰診断・過剰治療 / Active screening / 対策型検診 |
研究実績の概要 |
マンモグラフィは死亡率減少効果が証明された唯一の乳癌検診方法である。わが国でも国策として導入され広く普及したが、解決すべき課題も多い。とりわけ、カテゴリー3で精査となる石灰化所見は、がん発見率は5%と低く検診の偽陽性を増加させる一因となり、発見される乳がんも非浸潤がんが多く診断して治療すること自体が生命予後に影響しない過剰診断・過剰治療の原因と考えられるようになってきた。本研究ではマンモグラフィ検診の導入以来見直しが行われておらず改善の余地が大きい石灰化所見に着目し、追加の画像診断や侵襲性の高い精密検査を必要最小限度に抑えられる検診・医療体制の確立を目指して、既存のカテゴリー分類の再構築と適切なマネジメントの方針を提示することを目的とした。初年度は現行のガイドラインにおいて、受診者の不利益が最小限になるような精査後のマネジマントについて検討した。結果、C-3石灰化は「経時変化」があれば有意に悪性であり、侵襲的検査の適応判定として有用である可能性が示唆された。また経過観察の至適な間隔は、癌であった症例の確定診断までの中央値が12.8ヶ月で、浸潤癌への発展は稀であったことから6~12ヶ月間隔でも受診者に不利益が生じないと推察された。また、MRI造影所見はC-3石灰化の悪性診断として高感度とされているが、本検討では「経時変化あり」の感度84.2%、特異度46.7%でありMRI造影所見と遜色ない結果であり、低侵襲で簡便な評価方法であると考えられる。以上の結果は今後予定している対策型検診(住民検診)レベルでの前向き試験「経過観察:Active screening」導入への予備調査として根拠となるデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画としては既存の検診データと石灰化の画像所見の収集の予定であったが、データの収集と解析は予定通りであるが、画像の収集解析が遅れている。2年目は「経過観察:Active screening」を前向き試験として導入することを予定しているが、同時に画像の解析も進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
対策型検診(住民検診)レベルで「経過観察:Active screening」を前向き試験として導入し、宮城県対がん協会に併設されたクリニックでC-3石灰化のマネジメント・カテゴリー判定に時間軸を導入した際の臨床的有用性の検証を行い研究を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析ソフトの購入を見送ったため
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