研究実績の概要 |
内容1)各月4日、8か月間(計32日)のフィールドワーク調査を通じて、計2,616件の検体及び臨床情報の収集を行った。昨年度得られた情報を加えた計3,236件について、循環器疾患関連指標の5年間の変化と各種電解質濃度(Ca,K,Na.Cl,P,Alb,Glo)との間の関連解析を実施した。この結果から性別、年齢や飲酒喫煙習慣、服薬、腎機能とは独立に特定の電解質濃度と循環器指標とが関連することが見出された。なおこの関連解析は測定した各電解質を共変量として加えており、それぞれの電解質ごとの独立した性質であると解釈できる。また循環器指標の変化を評価するにあたっては平均への回帰現象を考慮に入れた解析を実施している。 意義1)現時点の情報量での解析ではあるが、特定の電解質濃度と循環器関連項目との関連が見出すのに適した解析方法が見出されたと考える。これを今後の解析方針の基盤として利用する。
内容2)ベースライン調査での各種電解質濃度値ならびにメタボローム解析データを用いた線形モデルの残差を用いて、本研究で測定対象としている重炭酸イオンならびにアニオンギャップの推定値と最高/最低血圧および動脈硬化指数との関連を確認した。これらの生体イオンの測定値ならびに推定値が濃度依存的にかつ有意に循環器指標と関連することを確認できた。 意義2)研究の目的としているアニオンギャップの健常人における微小な変化がその時の循環器疾患指標に値依存的に関係することが確認でき、実際に高精度なアニオンギャップを測定した際にも同様に目的としている関連が見出される期待が高まった。
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