本研究は、健常者におけるノロウイルス不顕性感染を前向きに検討した研究である。先のノロウイルス不顕性感染横断研究において、ノロウイルス不顕性感染が確認された222名及び年齢・性別でマッチした666名の不顕性感染陰性であったものを対象に、本前向き研究のリクルートを行った。結果288名が参加し、平均年齢は59.9歳で49.7%)が男性であった。73名は過去にノロウイルス不顕性感染を確認されており、215名が過去に陰性であった。中央値599日後には14名 (4.9%; GI 0; GII 14) がノロウイルス陽性であった。過去に陽性であったものは2.7%であり、過去に陰性であったものは5.6%であった。過去に陽性であったものは、同じ遺伝子グループが陽性となることはなかった。一方、過去に陰性であったものの中では、高齢者、血圧上昇、HbA1c高値のものがノロウイルス新規陽性となる傾向にあった。不顕性感染においても、同遺伝子グループに対する保護的影響の可能性が示唆された。一方で過去に陰性であったものも、特定の特徴や生活様式を持つことで、ノロウイルス不顕性感染を新規に起こしやすいことが示唆された。
|