本研究の目的は、日本独自の環境要因等を考慮しながら、時空間ダイナミクスのモデル化を通じて、RSウイルス感染症による感染時致命割合・感染伝播力を、都道府県別・シーズン/週別・年齢群別に推定し、さらに時空間的異質性をもたらす要因を解明すると共に、効果的な疫学的介入方法を同定し、一連の過程を通して感染症予防対策に関する政策意思決定に資する根拠を数値として提供することである。 本研究の最終到達目標は、疾病負荷が極めて高いRSウイルス感染症の感染時致命割合・感染伝播力の推定、その時空間的異質性の要因の解明、医学的・非医学的介入による疫学的効果の提示を通じた、感染症対策における政策判断体系の基礎の提供であり、その一つに、「1. RSウイルス感染症の感染時致命割合・感染伝播力は都道府県別・シーズン/週別・年齢群別にどの程度異なるのか.」がある。 初年度である平成30年度は、RSウイルス感染症による死亡割合について、都道府県別・シーズン/週別・年齢群別に推定し、その時空間的異質性をもたらす要因について研究結果を得られたことから、現在、これらの研究結果について国際学術誌に再投稿中である。 2020年度は、年度途中に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、国際的な脅威となった。本研究者が、新興感染症のリスク推定(感染伝搬リスク、死亡リスク等)を専門にすることから、当該感染症のリスク推定研究に従事し、研究成果を国際学術誌に複数報告し、受理されている。
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