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2021 年度 実施状況報告書

不完全情報あるいは間接的情報に基づく感染性の指標、基本再生産数の推定

研究課題

研究課題/領域番号 18K17371
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

浅井 雄介  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 研究員 (70779991)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード理論疫学 / 感染症 / 数理モデル
研究実績の概要

本研究では,従来の理想的な観察データに基づくR0の推定を補間可能な不完全情報や間接情報を用いて実現することを目標としており,研究4年目である本年度は以下の研究を行った.
不確実性を加味したモデルによるR0の推定:
2020年の研究により,流行初期では感染症と判断されないため報告に遅れが生じ,各時点の報告者数を用いた推定は,不確実性を伴うことが確認できた.Carrying capacityを加味したSEIRモデルを,常微分方程式で記述した.死亡率に不確実性を実装した確率微分方程式のモデルを構築し,人口が一定という条件のもとでR0を算出する式を作り,R0を求めた.確率微分方程式によるモデル化は有用であるが,パラメータが負になるなど,必ずしも現実的でない側面もある.そのため,パラメータが有限の区間に分布するような確率過程を用いたランダム微分方程式によるモデルも構築した.常微分方程式によるモデルとランダム微分方程式によるモデルを比較し,長期的なふるまいがどのくらい異なるか数値実験を行った.また,Disease-free steady stateとEおよびIのコンパートメントが常に増加する条件を定性的に導き,数値実験によりそれが満たされることを示した. 本研究は論文化を行い,現在査読中である.
院内感染や家庭内感染など,クラスター感染にも多様な感染経路が存在する.クラスターの形成過程を捉えた数理モデルによるR0の構築では,COVID-19感染症のクラスター情報をもとに,学校や外食先,家庭内での感染とクラスターの種類の分類を行った.特に,昨年度はhousehold transmissionのモデルをあてはめパラメータ値の算出に取り組んだ.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度もCOVID-19の流行が続いており,昨年度に引き続き,各国の流行データと人の移動に関連するデータを収集中である.クラスターデータを用いた数理モデル研究については,household transmissionのモデルによるパラメータ値の推定を行っているが,分散が大きいため推定がうまくいかないことが多いことがわかってきた.解析データの特徴に応じた数理モデルの改善が必要であり,当初の計画よりも遅れが生じている.

今後の研究の推進方策

2021年度は参加を予定していた学会がキャンセルとなったため,研究成果の発表をする機会があまりなかった.本年度はようやく学会もオンサイトで開かれるようになりつつあり,積極的な参加と研究成果の発表と情報収集を行う予定である.
また,COVID-19の流行に関するオープンデータだけでなく,自治体のワクチン接種記録やレセプト情報などより細かいレベルの人口属性データなど,研究の計画段階では想定していなかったデータも手に入りつつある.本年度はまずクラスター形成過程を捉えた数理モデルによるR0の推定と,国際的な流行拡大データを活用したR0の推定を行う予定であるが,人口属性によってもR0は異なることも予想される.新たに手に入れたデータを利用し,構築した数理モデルを用いて感染リスクの推定を行う予定である.

次年度使用額が生じた理由

理由:本年度はCOVID-19の流行により,予定していた学会発表や出張ができなかった.また,COVID-19のデータ収集に焦点を当て研究を遂行したため,図書の購入が少なかったことも理由としてあげられる.
使用計画:学会発表や出張等を行う予定であるが,国内外の感染状況によっては,海外出張よりも国内出張の比重を大きくするということも考えている.また,図書や物品購入費など,他の使用目的への振り分けも検討している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Dynamics of SEIR model in random environment2021

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Asai
    • 学会等名
      Biomath 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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