研究課題/領域番号 |
18K17374
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
児玉 理恵 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (40815586)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変形性手関節症 / 疫学 / 有病率 / 発生率 / 危険因子 / 機能評価 / 地域住民コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、本邦における手の変形性関節症(osteoarthritis, OA)の有病率、発生率、増悪率、危険因子などの疫学指標を確立するために、大規模一般住民コホート研究ROAD(Research on Osteoarthritis/Osteoporosis Against Disbility)スタディにおいて、手のX線写真を撮影し、診察、機能評価を含めて縦断的に追跡を行っている。 平成31年度は、前年度に引き続き、ROADスタディ第5回調査、手の調査としては第3回調査を実施し、和歌山県日高川町の山村コホート、太地町の漁村コホートにおける手のOA追跡調査が全て終了した。主な調査内容は、各関節のX線撮影(両手、両膝、両股、全脊椎)、200項目以上の問診調査、手の機能評価(quick DASH)、握力を含む身体運動機能検査、血液尿検査、骨密度検査、手指の関節の診察を実施した。山村コホートは829人(男性277人、女性552人)、平均66.5歳、漁村コホートは1175人(男性380人、女性795人)、平均62.8歳、合計2004名を調査した。DICOMファイル形式で得られたX線画像の関節毎の仕分けとデータの整理が終了し、計3回、6年間に渡る手OA追跡調査のデータが全て揃った。 また、ROADスタディ第3回、4回調査の手のX線画像の読影、データリンケージが終了した。読影関節は、両手指の遠位指節間関節、近位指節間関節、中手指節間関節、母指の手根中手関節である。これにより、3年間での手OAの発生率、増悪率が判明したため、どのような因子が関連しているかを現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度の研究のメインである、漁村コホートでの6年目の追跡調査が無事に終了し、2コホートにおける計3回のデータ収集が無事に完了した。ベースラインと3年目の追跡調査のX線読影、データリンケージが終了し、解析も予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成32年度は、引き続き手OA検診ベースラインと3年目追跡調査のデータの解析を進め、手OAの発生に影響する要因を明らかにする。対象者の生活歴、既往歴、職業などを含めた詳細な問診データや、運動機能検査、骨密度検査、血液尿検査も実施しているため、手OAの発生や増悪にどのような因子が関連しているかを解明する。 また、手OA検診として6年目の追跡調査で得られた2004名の両手X線正面像を、KL分類、OARSI atlasに基づいて読影を行う。これと、他のデータとのリンケージを行い、3年目、6年目の追跡データセットが完成する。 平成33年度は、平成32年に完成した手OAデータセットを用いて、更に6年間での手OAの発生率、増悪率を明らかにし、それらに影響を及ぼす要因を解明する。また、ROADスタディの膨大なデータから、他関節のX線(膝、股、脊椎)のデータとのリンケージを行う。これにより、手OAの有病が他関節のOAにどのような影響を及ぼしているのか明らかにすることができる。また、OAの合併が予後やQOLに及ぼす影響を評価する。また、申請者はベースライン調査で、血清抗シトルリン化ペプチド抗体、リウマトイド因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3、C反応性タンパクを解析している。ベースライン時にこれらのバイオマーカーが高値だった者が6年間で手OAを発生したか、または増悪したかを評価し、血清学的に手OAを予測することが可能かどうかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の漁村コホートでの追跡調査の際に、前年度の山村コホートでの使用した物品で使用可能な物が多くあったため、そちらを使用したため、物品費の支出が予定よりも安く抑えられたため、差額が発生した。 2020年度は、第3回追跡調査の参加人数が予想よりも多かったことから、読影やデータ利処理に必要となる消耗品、物品費が多く発生することが予想されるため、差額を合わせてそちらに使用する予定としている。
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