研究実績の概要 |
本研究は、本邦における手の変形性関節症(osteoarthritis, OA)の有病率、発生率、増悪率、危険因子などの疫学指標を確立するために、大規模一般住民コホート研究ROAD(Research on Osteoarthritis/Osteoporosis Against Disability)スタディにおいて、手のX線写真を撮影し、診察、機能評価を含めて縦断的に追跡を行い、画像読影、データ解析、エビデンスの構築を行ってきた。 令和3年度は、ROADスタディ第5回調査(6年目の追跡)のデータ、X線画像の整理及び、2004名のX線画像読影を終了させた。令和2年度までに作成したベースライン、3年目の追跡データとのリンケージを行い、6年間の手OAの追跡データセットを完成させた。このデータセットを用いて、6年間での手OAの発生率、増悪率、罹患関節の分布、手の機能評価(quick DASH)との関連の解析、また、抗シトルリン化ペプチド抗体、リウマトイド因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3、C反応性タンパクなどの各種バイオマーカーと手OAの発生との関連を解析し、現在論文執筆準備中である。 本研究により、今まで我が国で明らかでなかった手OAの発生率、増悪率の推定、手OAによる機能低下との関連、年齢との関連を始めとする多くの疫学指標を明らかにすることができた。これにより、今後の手OAの予防、高齢者のQOLの維持増進につながるエビデンスを構築できたと考えられる。
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