研究実績の概要 |
IgA腎症は本邦における慢性糸球体腎炎のなかで最も多く、約20年の経過で30~40%が末期腎不全に陥る難治性の疾患である。現在まで、IgA腎症の治療法や予後に関する研究は、主として診断時や治療開始時における情報が用いられたコホート研究が用いられているが、慢性の経過を辿る疾患であるため、経過中の要因変化や急激な腎機能の低下が生じることも多く、日常診療における様々なクリニカルクエスチョンに対応するエビデンスが確立されているとは言い難い。このため、正確な診療データ・予後データを収集したデータベースが求められている。厚生労働省難治性腎疾患IgA腎症WGはこれまでのべ約3,000例を対象としたデータ収集を行っているが、各コホート研究の観察項目は標準化されておらず、統合されたデータベースは存在しない。本研究では多施設共同研究のデータ(のべ3,000例)を基盤とし、観察項目、収集方法などをシステマティックレビューで標準化した「統合型データベース」を構築する研究である。 平成30年度は、主として統合型データベースのシステムについての検討を行った。ハンドリング可能なデータベースについて ①EDCシステムへの展開 ②収集された項目についてCDISC標準に基づいたSDTMマッピングを行った。また、EDCシステムに合わせてデータベースユーティリティソフト(REDCap2SDTM)の改修を行い、データベースの結合および記述統計量が正確に算出されたことを確認した。次年度以降はシステマティックレビューなどによる項目の選定を行い、本邦におけるIgA腎症レジストリーのスタンダードを目指す。
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