単胎分娩した妊婦を対象し、初産と経産二群に分け、就労や育児など生活背景を加えて、スマホ利用習慣をJ-SDSで評価した。妊娠36週のノンストレステスト受診時に自記式調査票を配布、医療機関提供の診療録と併せて重回帰分析を行った、妊婦は特に制限することなくスマホ利用していることが判明した。J-SDSスコアと分娩所要時間の間に関連が見られた。初産と経産の分娩における差を考慮して2群に分けて解析したところ、初産群は産科合併症や母子の体格等を調整後も正の関連が示された。経産群のJ-SDSスコアには同様の関連が見られなかった。スマホ利用習慣は初産と経産で異なる結果となり、初産の分娩進行の遅延に影響を与えている可能性が考えられる。
また、スマートフォンの使用状況評価尺度(J-SDS)の因子分析を行い、新しい尺度を作成した。J-SDSとガラケーの使用状況評価尺度(STDS)、さらに妊婦の基本状況(妊娠前体格、職業、ライフスタイルなど)を評価し、最終的にAMOSで共分散構造分析を行った。結果として、ガラケーとスマートフォンの過剰使用の間に強い相関を確認し、STDS下位尺度の Relationship maintenance(感情維持)とJ-SDS下位尺度のForbidden feeling painful(禁じられるとつらい)、およびRelationship maintenancの間に有意な関連を見られた。さらに、STDS下位尺度のEmotional Reaction(情動的な反応)とJ-SDS下位尺度のRelationship maintenanceの間にも正の関連を確認できた。つまり、ガラケーとスマートフォンの過剰使用には、感情に関する下位尺度の間に有意な関連が見られたが、異なる特性があることを確認できた。
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