研究課題/領域番号 |
18K17385
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
森山 信彰 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90805920)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 身体活動 / 知覚された環境 / 高齢者 / 災害後避難 |
研究実績の概要 |
最終年度にはである2020年度には、「知覚された環境」が被災高齢者の身体活動に及ぼす影響の関連について解析し、その結果を論文にまとめ、国際誌(Journal of Aging and Physical Activity)に報告した。 結果の概要は以下の通りである。 復興公営住宅の居住者と非居住者で、身体活動に関連する「知覚された環境」との関連を検討した結果、復興公営住宅居住者では、周囲の景観を楽しいを感じることと、非居住者(非避難者)では自宅に運動するための用具があることと身体活動に関連が認められた。 避難者は、基本的に避難先の周辺環境を選ぶことが不可能であると推察される。また、避難者のための住居建設にあたり、周辺環境を、身体活動実践のための魅力的な設定に整えることは、優先順位が決して高く設定されていない、という状況が関わっていることと推察される。避難を余儀なくされた被災者に対しては、避難先の居住環境周辺に、ウォーキング、ジョギングなどに適した公園、道路の設置などが望ましい可能性がある。 さらに、この研究で得られた知見を広く発信するための地域活動を実践した。福島第一原子力発電所事故により避難区域に指定された自治体において、避難指示解除後に自宅に帰還した住民に運動するための用具としてバンド(伸長することにより負荷をかけることができる)を提供した。効果検証を行うことはできなかったが、この支援活動は研究に得られた知見に基づいたものであり、負荷を自由に調節できる用具であるため、身体活動促進のために有効利用してもらえたものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査により得られた知見を学術論文により報告し、地域への還元活動にまで広げることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年度には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で十分な地域支援活動が行えなかった。本研究で得られた知見は、このコロナ禍のように自由な地域参加・交流が制限される状況においても、活動的な生活を送っていただくための方策の提言にも資すると考えている。今後は、より具体的な支援策の検討に向けて、コロナ禍における高齢者の身体活動の阻害要因の検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果報告のための学会発表が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で困難となったため、次年度開催の学会にて発表をおこなう。
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