研究課題
アドレノメデュリン(adrenomedullin:ADM)は、多彩な作用を有する生理活性物質であり、今までに3000本を超える論文が報告されている。ADMは、炎症疾患や臓器障害と関連して血中濃度が変動するため、バイオマーカーとして用いられることが期待される。一方、ADMは血中半減期が短く、ルーチンの血液検査に応用するには限界があった。安定して血中濃度を測定できるADMの前駆物質である Mid-regional pro-ADM(MR-proADM)の測定系を用い、本研究では、平成20年度より前向き調査として継続追跡しているコホート集団を対象として、MR-proADMと生活習慣病を主因とする慢性炎症及び慢性臓器障害との関連を横断的および縦断的に 解析し、新規血中バイオマーカーとしてMR-proADMの可能性を検討する。MR-proADMの測定は、TRACE;Time-Resolved Amplified Cryptate Emission(時間分解蛍光増幅測定)法を用いた測定と質量分析による測定系を確立し、国内での安定した測定が可能となった。2,000名以上のMR-proADMを測定し、MR-proADMと体組成の関係を検討したところ、BMI、体脂肪率、骨格筋率、皮下脂肪、内臓脂肪の5つの体組成指標の中で、内臓脂肪と強く関係することを報告した。また高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドロームの 有病者、肥満者(BMI 25以上)、のいずれにおいても、非有病者や非肥満者に比べるとMR-proADMは高値となること、血管スティフネスと関係することを報告した。これらの結果はMR-proADMが、包括的に動脈硬化を反映する血管バイオマーカーとなることを示す。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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