研究課題/領域番号 |
18K17391
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
長田 圭司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00527195)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 後縦靭帯骨化症 / 骨化伸展 / AGEs / 大規模住民コホート |
研究実績の概要 |
我々は大規模住民コホート研究ROADのベースライン調査(2005-6年)参加者のうち、和歌山県内2地域の住民1,690名(男性596人、女性1094人、平均年齢65.2歳)をベースライン対象とし、3年後の第2次追跡調査を行い、OPLLの骨化伸展様式を調査した。OPLL は1690人中30人に認められ(1.8%)、そのうち追跡調査では24人(80%)のフォローが可能であった。骨化の分類をsegmented, serial, mixの3つの型に分類した。その結果、OPLLのtype別ではsegmented 9人(30%)、serial 13人(43%)、mix 8人(27%)であった。Type別ペントシジンの測定値はsegmented 0.051±0.019、serial 0.13±0.21、mix 0.052±0.014、OPLLなし 0.059±0.041であり、有意にserial群で高かった。Serial群のうち1人、segmented群で2人がmix群に移行していた。骨化の伸展(follow-baseline)は長さ(segmented 1.9±4.5mm、serial 2.6±4.9、mix 0.8±7.3,p=0.82)、前後径(segmented 0.49±0.46、serial 0.44±0.59、mix 0.65±0.60, p=0.76)であり、いずれも伸展傾向であったが各群に有意差は認めなかった。本研究によりSerial群はより高AGEs状態であることを解明した。以上の内容を脊椎脊髄病学会に提出し、採択された。論文執筆を現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OPLLの縦断研究における現地調査は無事に終了しており、現在はデータの読影および解析を行っている最中である。またPreliminaryな研究として3年フォローのデータをまとめて現在執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、 1)地域住民の脊柱靭帯骨化有所見者(OPLL、OYL、DISH)の共存および新規発生とAGEsとの関連を明らかにする。 ベースラインでのOPLLに関しての測定は既に済んでおり、2018―19年度のフォローアップのデータの測定を行う。OYLに関しては、Bong ら(Bong Ju Moon, J Korean Neurosurg Soc(2015) 58(2):112-118)が報告したようにParasagittal MRIにて診断を行い、さらに単純レントゲンで骨化の有無のダブルチェックを行う。そのMRI研究では有病率は16.9%と報告している。日本人のCT研究(Mori K, SPINE (2013)38:1216-1222)では有病率が36%であった。またDISHに関しては、籠谷ら(Kagotani R, JBMM(2014))が我々のコホートにて10.8%と報告している。OYLに関しては未測定ではあるが、全ての脊柱靭帯骨化疾患を合わせると、全体の20~30%程度(約200~300人)以上の有病率が見込まれ、10年フォローのデータでも十分に解析が可能である。今回我々は脊柱靭帯骨化疾患の共存状態とAGEsとの関連、また個別の解析を行い、それぞれの発症機序の違いを明らかにする。2)健常者と脊柱靭帯骨化有所見者におけるAGEsとの関連を明らかにする。ベースライン調査の結果では健常者と上記で診断した脊柱靭帯骨化有所見者との間でAGEsとの関連が解明できる。また、それぞれの靭帯骨化疾患でのAGEsの関連の程度の相違も同様に解析が可能である。3) 新規発生脊柱靭帯骨化の発生率と危険因子の解明を行う。ベースラインで脊柱靭帯骨化を持たないat risk群において、10年フォローにて新規発生率を明らかにする。また、新規発生に関わるAGEsを含めた危険因子の特定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は現地調査を行い、データ収集や取り込みを行った。しかし、次年度にもその研究結果をまとめた発表や論文執筆に関わる諸経費が必要であり、予算を計上した。
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