研究課題/領域番号 |
18K17396
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
辰巳 友佳子 帝京大学, 医学部, 講師 (00757685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家庭血圧 / 食後高血糖 |
研究実績の概要 |
家庭高血圧に関する研究:単一職域集団の健康診断データを用いて、家庭血圧測定の実施の有無と健診血圧コントロール状況の差異を服薬開始時期を考慮して検討した。対象者は2019年度(当年度)の定期健診受診者のうち、40歳以上の降圧薬服用者1292名とした。当年度健診時の自記式質問票にて「上腕血圧計でほぼ毎日測定」していると回答した者を家庭血圧測定実施者とした。各人の前年度健診時の降圧薬服用有無により、服薬開始群261名、服薬継続群1031名に分けた。各群で、家庭血圧測定実施者における血圧コントロール良好のオッズ比(非実施者を基準)を多変量調整ロジスティック回帰分析により算出し、前年からの血圧変化値を共分散分析を用いて比較した。対象者の平均年齢は56.7歳、男性が414名であった。服薬開始群では261名中188名が家庭血圧測定非実施で、うち86名が血圧コントロール良好だった。家庭血圧測定実施者は73名で、うち46名が血圧コントロール良好で、多変量調整オッズ比は1.96と有意に高かった。血圧変化値は、実施者で非実施者よりも拡張期血圧が有意に低下したが、収縮期血圧に有意差はなかった。服薬継続群では1031名中883名が家庭血圧測定非実施で、うち483名が血圧コントロール良好だった。家庭血圧測定実施者は148名で、うち90名が血圧コントロール良好で、多変量調整オッズ比は1.27だった。血圧変化値は収縮期、拡張期とも差はなかった。以上より、降圧治療開始1年未満の者の約28%がほぼ毎日上腕血圧計で家庭血圧測定を実施しており、実施者は非実施者と比較して血圧コントロールが有意に良好で、特に拡張期血圧が低下していたと考えられた。より早期に血圧をコントロールするためにも治療開始時の血圧自己管理は重要であると思われる。 食後高血糖に関する研究:人間ドック受診データの拡充を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食後高血糖に関する研究が遅れている。新型コロナの影響により、データ提供元の病院が多忙なため、追跡期間延長のための解析データ拡充作業が遅れている。また、同様に新型コロナの影響により、職域集団における簡易糖負荷試験の実証試験が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度前期には、拡充作業中の研究データが提供される予定であるため、提供され次第、解析用データセットの整備と、解析を進める。また、食後高血糖のスクリーニングについて、Flush Glucose Monitoringの使用可能性を検討するため、使用感などを研究者の間で試験中である。これについても、試験を進め、先行研究をもとに実現可能性の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、出張、学会等が中止になったため。また、予定していた調査および実証試験が延期になったため。 2021年度も調査や実証試験の実施は難しいと考えられるため、計画を改め、代替案を検討する。また、既存データを用いた統計解析を進め、論文作成により知見を構築する。
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