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2018 年度 実施状況報告書

多剤耐性淋菌のゲノム解読に基づくサーベイランスと進化・伝播の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K17406
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

矢原 耕史  国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70542356)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード薬剤耐性 / 進化 / 組換え / 細菌 / 淋菌 / ゲノム / 疫学 / 系統
研究実績の概要

世界初の高度耐性・多剤耐性株が分離された京都・大阪で、近年分離された淋菌約200株のゲノムと薬剤感受性のデータから、主要薬剤に対して耐性を示す菌株の割合をまず明らかにした。特に、第一選択薬であるセフトリアキソンに耐性を示す新たな菌株は見つからないことを確認した。その一方で、セファロスポリン系薬剤に対する感受性の低下を引き起こす主要な因子であるモザイク型penA遺伝子について、通常はそれを有するST7363系統の一部に、組換えによって感受性型のpenA遺伝子に戻っているサブ系統が存在し、維持されていることを明らかにした。また、キノロン系薬剤への耐性は、85%の菌株で見られ、DNAジャイレースサブユニットAの91番目と95番目のリンクしたアミノ酸置換によって、感度99%・特異度100%で判別できることを明らかにした。欧米で第二選択薬として採用されているアジスロマイシンについては、約10%の菌株が耐性を示し、上記の2種類の薬剤に比べてその因子は明瞭でなかった。さらに、セファロスポリン低感受性の二大系統(上記のST7363およびST1901)に注目し、日本の他の地域で過去(1996年以降)に分離された計67株のゲノムと薬剤感受性のデータを追加して解析することで、両者が相異なる進化をしてきたことを明らかにした。具体的には、ST7363系統でモザイク型penA X遺伝子が一度獲得された後、ST1901系統ではモザイク型penA XおよびXXXIV遺伝子が複数回独立に獲得されたことを明らかにした。この論文は、査読の過程で、当初予定していなかったデータおよび解析を加えて、Microbial Genomics誌に出版した。また、国立遺伝学研究所の研究集会、薬剤耐性菌研究会、さらにゲノム微生物学会の奨励賞受賞講演の一部で口頭発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

「研究実績の概要」に述べた通り、論文出版と学会・研究会発表の双方で、順調な達成を得ることが出来た。

今後の研究の推進方策

今年度の達成度を継続していけるよう、今後も日々努力する。

次年度使用額が生じた理由

所内の設備に大きな変更が生じる可能性があり、次世代シーケンサー関連の支出を先延ばしにした。次年度使用額は、所内の設備の状況を踏まえて、次世代シーケンサー関連の支出として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Imperial College London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Imperial College London
  • [雑誌論文] Genomic surveillance of Neisseria gonorrhoeae to investigate the distribution and evolution of antimicrobial-resistance determinants and lineages2018

    • 著者名/発表者名
      Koji Yahara, Shu-ichi Nakayama, Ken Shimuta, Ken-ichi Lee, Masatomo Morita, Takuya Kawahata, Toshiro Kuroki, Yuko Watanabe, Hitomi Ohya, Mitsuru Yasuda, Takashi Deguchi, Xavier Didelot, Makoto Ohnishi
    • 雑誌名

      Microbial Genomics

      巻: 4 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1099/mgen.0.000205

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Population genomic studies of microbial recombination, phylogeny, and population structure2019

    • 著者名/発表者名
      矢原耕史
    • 学会等名
      ゲノム微生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 種内・近縁種間での遺伝情報の水平移動 - ウイルスと薬剤耐性菌を例に -2018

    • 著者名/発表者名
      矢原耕史
    • 学会等名
      遺伝研・研究集会「自然界の生物種間における遺伝情報の多様性をもたらす"DNA水平伝播"の解析と活用法」
  • [学会発表] Genomic surveillance of Neisseria gonorrhoeae to investigate the distribution and evolution of antimicrobial-resistance determinants and lineages2018

    • 著者名/発表者名
      Koji Yahara, Shu-ichi Nakayama, Ken Shimuta, Ken-ichi Lee, Masatomo Morita, Takuya Kawahata, Toshiro Kuroki, Yuko Watanabe, Hitomi Ohya, Mitsuru Yasuda, Takashi Deguchi, Xavier Didelot, Makoto Ohnishi
    • 学会等名
      薬剤耐性菌研究会

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公開日: 2019-12-27  

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