研究課題/領域番号 |
18K17406
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
矢原 耕史 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (70542356)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 進化 / 組換え / 細菌 / 淋菌 / ゲノム / 疫学 / 系統 |
研究実績の概要 |
初年度に出版した論文を踏まえ、日本から世界に拡散していったと考えられている二大系統(ST1901、ST7363)を対象に、発展的な解析に着手した。まず、セファロスポリン耐性を主に司るモザイク型penA XXXIV遺伝子に焦点を当て、それを有するST1901の株で2005年に日本で最初に分離され保存されていた3株のゲノムをMinIONで解読し、Illuminaリードで補正した完全長のゲノムの塩基配列を得た。それを、ハーバード大学、オックスフォード大学との共同研究により、世界各地(37カ国)で分離されたST1901の約1000株分のゲノムの塩基配列データと統合し、横軸を実年代とした系統樹を、最新の手法とスーパーコンピューターを用いて初めて構築した。一方、別のモザイク型penA X遺伝子を主に有するST7363についても、1996年から2005年に日本で分離された103株のゲノムを解読し、過去に解読した88株のゲノムの塩基配列データと統合し、横軸を実年代とした系統樹を構築した。penA XXXIVを有するST1901のサブ系統の起源が1990年から1999年であることを推定した上で、penA XXXIVが、2段階の組換えによって生じたと考えられることを明らかにした。さらに、キノロン耐性について、ST7363がpenA Xを獲得した後、1996年から1998年という短期間でGyrA 95とParC 87-88のアミノ酸置換を起こしたことを明らかにした。さらに、文献および過去のアンケート調査に基づき、これらの耐性因子と当時の抗菌薬使用状況の関係に関する考察を進めた。以上の成果を、英国Wellcome Trustの薬剤耐性国際カンファレンス向けにまとめると同時に、投稿論文の作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに欧米のトップランナーと共同研究を開始し、成果を国際学会向けにまとめ、投稿論文の作成まで進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の達成度を継続していけるよう、研究計画に基づいて、今後も日々出来る限りの努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノム解読の一部(現在まとめている論文には組み込む必要が内)を次年度に持ち越したため
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