研究実績の概要 |
本研究では、リハビリテーションによる早期の機能回復に関連する可変的な生活習慣および生活環境を、大規模コホート研究により収集される電子化医療情報を用いて明らかにすることで、三次予防に対する具体的な改善策を提案することを目的とする。 これまでの実績として、DPCデータおよびレセプト情報などの電子化医療情報を、自治体および関連病院から収集し、専門的なデータマネジメントの技術を用いながらデータのクリーニングとデータセットの構築を実施した。また、構築されたデータセットをもとに、DPCデータから抽出できる情報として、診療行為明細の請求コードをもとにリハビリテーションの実施を把握することが可能となった。 今年度は、リハビリテーションを実施した対象者において、DPCデータの様式1より、入退院時のADLを評価することによって、リハビリテーションによる回復過程を把握した。さらに、入退院時のADLの変化により分類した群(ADL改善群、ADL不変群、ADL低下群)における、ベースライン時の生活習慣(体格、既往歴、喫煙、飲酒)を比較した。 結果として、DPCデータが入手可能だった約1万5千人のうち、リハビリテーションを実施した対象者は3,771人だった。入退院時のADLが把握できたリハビリテーション実施者(3,204人)のうち、ADL改善群(34%)では、平均年齢63.7±7.8歳、女性44%、現在喫煙21%、毎日飲酒28%、BMI30以上5%、糖尿病歴13%だった。ADL不変群(61%)では、平均年齢63.3±8.2歳、女性47%、現在喫煙20%、毎日飲酒27%、BMI30以上5%、糖尿病歴14%だった。一方で、ADL低下群(5%)では、平均年齢64.4±8.6歳、女性48%、現在喫煙17%、毎日飲酒22%、BMI30以上6%、糖尿病歴18%だった。
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