妊娠糖尿病(Gestational Diabetes Mellitus:GDM)は、将来の2型糖尿病発症の高リスク因子であり、中でも妊娠前肥満はリスク因子である。海外においては、妊娠前肥満の有無に関わらず、産後の体重増加が大きいことは、産後糖尿病発症の独立したリスク因子である。しかし、我が国においては、産後の体重の推移を含めた報告は限られている。GDM女性において産後糖尿病発症予防のために、産後の体重増加をいかにコントロールするかを授乳との関係を含めて明らかにすること、さらに減量や行動変容の障害となっている因子を探索的に明らかにすることを本研究の主な目的とした。 当院で2017年から2018年に単胎妊娠で分娩管理を行ったGDM女性で産後1年までの介入プログラム(食事、運動、教育、授乳の包括的強化介入プログラム)に参加した53人を本年度の研究の対象とした。産後3ヵ月時点でNGT 43人、IGT 9人、DM型 1人であった。DM型であった1人を除外した52人(妊娠前非肥満(BMI<25)が42人、妊娠前肥満(BMI≧25)が10人) に対して産後3か月から産後1年までの介入プログラムを施行した。産後6ヵ月、9ヵ月、産後1年、産後2年に体重を測定し、産後1年、産後2年に75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を施行した。COVID-19の影響もあり来院が難しいケースもあった。 産後1年の75gOGTT 施行は38例で、正常型 35例(92.1%)、境界型糖尿病 2例(5.3%)、糖尿病型 1例(2.6%)であった。産後2年の75gOGTT 施行は23例で、正常型 15例(65.2%)、境界型糖尿病 7例(30.4%)、糖尿病型 1例(4.4%)であった。
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