• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

都市部の社会的要因がもたらす結核感染伝播のリスク究明

研究課題

研究課題/領域番号 18K17410
研究機関地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所

研究代表者

山本 香織  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (70649011)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード結核 / 社会地区類型 / 地域差
研究実績の概要

本研究では、全国で最も罹患率が高い大阪市(32.8、2016年)において、患者疫学情報と結核分子疫学の結果から推定した結核の感染伝播を、社会経済的属性が同質の地域単位で分析することで、どのような社会的背景の人が集まる地域で結核の感染伝播が多いかを明らかにすることを目的とする。2018年度は国勢調査結果から得られる住民の年齢、職業等の情報を用いて大阪市の332連合町会を因子分析(最尤法・バリマックス回転)およびクラスター分析(ward法)を用いて6つの社会経済的因子により社会経済的属性が同質の地域ごとに分類した15の社会地区類型を作成した。結核罹患率の地域差検討するために、各類型地区の標準化新登録結核罹患比(標準化罹患比)を2010年の国勢調査における大阪市年齢階級別人口と2012-2016年の大阪市新登録結核患者4,990人のデータから算出した。基準人口には2015年国勢調査における大阪市人口を用いた。地域の結核罹患率と居住者の社会経済的特性との関連を検討するために、各社会地区類型における標準化罹患比と社会地区類型を構成する因子得点との間のスピアマンの順序相関係数を求めた。結果、社会地区類型間で結核罹患率の差が認められ、外国人コミュニティを含む地区(I)単身の若者でサービス業従事者が多い地区(L)および、あいりん地域を含む地区(O)の3つの地区類型で結核罹患率が高かった。標準化罹患比と地区の類型化に使用した因子との順序相関の上位3つから、標準化罹患比が高い地域は、経済的に貧困で、子育て世帯ではなく、サービス業従事者が多い特性があると考えられ、大阪市において結核の発生状況と地域の社会経済的特性が関連していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画のうち、類型地区間での結核菌感染伝播状況の比較するための患者由来結核菌の遺伝子型別が当初の予定よりもやや遅れている。

今後の研究の推進方策

連合町会ごとに集計した患者疫学情報を、類型地区別にまとめ、ロジスティック回帰分析等により、類型地区ごとの患者特性を分析する。患者由来結核菌の遺伝子型別を継続して行い、データ取得終了次第、2株以上で同一の遺伝子型を示す場合を共通感染源による感染伝播の可能性ありとして類型地区ごとに集計し、どの類型地区に感染伝播が多いかを推定する。併せて、検出される遺伝系統を類型地区ごとに比較し、クロス集計表等の統計的手法を用いて各類型地区と結核発生の疫学的特徴の関連について解析し、地域内感染伝播のリスク評価とその要因について検討する。

次年度使用額が生じた理由

30年度の研究計画において、結核菌の遺伝子型別が予定よりもやや遅れたため、使用予定であった試薬の購入を31年度に繰り越した。31年度は引き続き結核菌の遺伝子型別に用いる試薬・消耗品の購入と、空間解析に使用するパソコン、ソフトウェア並びに応用解析のための講習参加費用を計上している。また成果発表のための学会参加費、旅費、英文校正費を計上している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 大阪市における結核発生状況の地域差2018

    • 著者名/発表者名
      山本香織、和田崇之、小向 潤、清水直子、青木理恵、長谷 篤、松本健二、吉田英樹、山本太郎
    • 学会等名
      第93回日本結核病学会総会
  • [学会発表] 大阪市における社会経済的指標を用いた結核発生状況の地域差2018

    • 著者名/発表者名
      山本香織、中谷友樹、竹内昌平、小向 潤、青木理恵、松本健二、吉田英樹、山本太郎、和田崇之
    • 学会等名
      第77回日本公衆衛生学会総会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi