研究課題/領域番号 |
18K17412
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
舟山 一寿 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80568486)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 皮質動脈破綻による硬膜下血腫 / 組織透明化/3次元イメージング技術「CUBIC」 / 死後MRI / 死後造影CT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、組織透明化/3次元イメーイング技術「CUBIC」によるミクロ的手法と、汎用性のある死後CT及び死後MRIによるマクロ的手法を組み合わせ、皮質動脈を網羅的に検索することで、皮質動脈破綻による硬膜下血腫(acute spontaneous subdural hematoma: ASSDH)の解剖例で肉眼的に認識困難な破綻血管を確実に同定できる実行可能な診断法を確立することであるが、前年度までに解析対象となった10例について、 「CUBIC」による解析から病理組織学的検索までを当該年度に完了することができた。前年度までに「CUBIC」では病理組織学的検索と同等の精度で、なおかつ病理組織学的検索では不可能な非破壊的3次元的解析が可能となる一方、出血部位の透明性の低下や免疫染色に伴う組織脆弱性が問題となることが示唆されていたが、当該年度に行った結果の解析では、特に出血部位の透明性の低下が「CUBIC」による皮質動脈破綻の検出を妨げることが実証された。そこで当該年度では改良した「CUBIC」法によって血腫の十分な透明化の試みを開始した。また当該年度において、病理組織学的所見を中心とした皮質動脈破綻のメカニズム解析を行ったところ、皮質動脈破綻のメカニズムとして、皮質動脈と硬膜間に微小な癒着が形成され、それが軽微な外力によって破綻を生じている可能性が示唆された。当該年度において前年度までに解析対象となった10例について「CUBIC」法の有用性について学術論文報告を目指し準備をしていたが、COVID-19の影響による他業務の増加により、遅延が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度において当該疾患の解剖がなかったため、3年目終了時点においても解析対象症例は10症例と前年度と同じままであり、20例/4年の計画より少なくなっている。また当該年度において学術論文報告を目指し準備をしていたが、COVID-19の影響による他業務の増加により、遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、血腫存在下での皮質動脈破綻検出の改良版「CUBIC」法による検討とを行う。また、病理組織学的所見を中心とした皮質動脈破綻のメカニズム解析を継続する。これらによって得られた知見を更に解析、検討し、学術論文報告のを行うことで、本研究の目的であるASSDHの汎用性のある診断法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により研究に遅延が生じたため、当該年度予定支出額の55%の支出に留まった。次年度において研究継続に必要な物品購入による執行の他、学術論文の出稿費用等に使用する予定である。
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