研究課題/領域番号 |
18K17414
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮下 洋平 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60816312)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 死因究明 / 全エクソームシーケンス / トランスクリプトーム解析 / 自律神経 / 突然死 |
研究実績の概要 |
本研究は「心肥大を伴う原因不明の突然死症例における自律神経系遺伝子異常の探索」および「法医解剖における心肥大所見と突然死リスクの層別化」を目的としている。平成30年度は大阪大学法医学教室で行われた法医解剖事例について心臓の情報を中心としたデータベースを作成すること、また心臓死以外の死因で死亡した事例をコントロール群と位置づけて、上記データベースからゲノム解析を行う症例を抽出することを目標とした。これらの目標は順調に達成された。突然死事例に限らず、全事例についてデータベース登録したことで、男女別の心重量が、従来生体で提唱されてきた日本人の平均よりも重たいことが判明した。またこのデータベース情報より、本研究の対象となっている心重量による解析対象事例の分類および抽出に成功した。 また詳細な死因を検討することで、コントロール群の事例抽出も可能となった。これらの事例から血液および心筋組織を採取し全エクソーム解析およびRNAシーケンスを実施した。 エクソーム解析の結果から心臓突然死群と心重量増加群において心臓病に関する既知遺伝子変異数および自律神経系に関与する遺伝子変異数に有意な差を認め、これらについて日本法医学会および日本DNA多型学会で口演で報告した。 2019年度は解析が終了した全エクソームおよびトランスクリプトーム解析の結果から、自律神経に関与する遺伝子変異がその発現量にどのように影響を与えているかについて、統計学的に詳細に検討する。 また遺伝子発現の上流解析やパスウェイ解析などの手段を用いて心臓突然死の分子メカニズムに迫ることを目標とする。得られた結果は日本法医学会総会および各種国際学会で発表し、得られた知見を論文として公表していくことを目標とする
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度は1000例に及ぶ法医解剖結果のデータベース化を目標としたが、本課題については2018年10月までには終了した。引き続きデータベース情報から心重量を基準に事例を分類し、全エクソーム解析を実施した。また一部心筋組織を用いてトランスクリプトーム解析を実施した。解剖事例データベースからは大阪大学法医学教室における解剖事例においては従来提唱されてきた心重量よりも男女ともに約50g程度重量が重たいことが判明した。全エクソーム解析については心臓突然死群と心重量増加群において心臓病に関する既知遺伝子変異数および自律神経系に関与する遺伝子変異数に有意な差を認め、これらについて日本法医学会および日本DNA多型学会で口演で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は解析が終了した全エクソームおよびトランスクリプトーム解析の結果から、自律神経に関与する遺伝子変異がその発現量にどのように影響を与えているかについて、統計学的に詳細に検討する。 また遺伝子発現の上流解析やパスウェイ解析などの手段を用いて心臓突然死の分子メカニズムに迫ることを目標とする。 得られた結果は日本法医学会総会および各種国際学会で発表し、得られた知見を論文として公表していくことを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
残余試薬等があったため、シーケンスおよび解析にかかる経費が想定より少なかったため次年度使用額が発生した。引き続き本課題の遂行にあたってはシーケンス費用が継続的に発生するので、解析環境の維持、拡張を含め有効に利用したい。
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