令和元年度は大動脈弁と刺激伝導系の評価に関して倫理審査申請を行い、大動脈弁の評価については、研究許可申請を得た。当院倫理委員会研究課題番号はR19116である。刺激伝導系については症例数8例のため、症例報告を行う方針とした。 大動脈弁については、① 大動脈弁の組織所見の評価を実施。炎症細胞浸潤、血管新生、石灰沈着、コレステロール沈着、線維化を中心に検討。② 非慢性腎臓病大動脈弁狭窄症症例と比較検討。③ 心エコー所見、採血所見、併存疾患などの臨床検査項目を収集。④ 大動脈弁組織所見と臨床検査項目を比較解析。具体的にはeGFRごとにわけ、炎症、血管新生、石灰化、弁膜線維症はノンパラメトリック検定(Wilcoxonの順位和検定)などを実施。大動脈弁の厚さは性年齢調整Mantel-Haenselχ二乗検定やANCOVAなどを用いる。透析大動脈弁群と非透析大動脈弁群でロジスティック回帰分析を実施。調整変数として、年齢、透析期間、糖尿病、喫煙、カルシウム・リン積、高血圧の程度、カルシウム剤内服の有無を用いる。 刺激伝導系については、① 透析患者剖検症例における刺激伝導系の組織所見の評価を行う。線維化、炎症細胞浸潤、プルキンエ線維の空胞変性を中心に検討。② 電気生理検査、心エコー所見、採血所見、併存疾患などの臨床検査項目を収集。③刺激伝導系組織所見と臨床検査項目を比較解析。解析については、対象者数が8例と少ないため、記述疫学を行い、単純集計をすることとした。
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