深度判定が困難な褥瘡の一つに深部損傷褥瘡(Deep tissue injury; DTI)があり、外観上は皮膚欠損がないまたは浅い褥瘡であるが、深部が損傷している状態である。DTIでは、肉眼による表面の観察からでは正しいアセスメントと適切な早期介入が難しいため、急激な皮膚障害の悪化や強い痛みを引き起こす場合がある。そのため、身体の内部を可視化する新しいフィジカルアセスメントを在宅看護に導入することが強く求められている。超音波検査装置(エコー)非侵襲で簡便に、リアルタイムに使用でき、看護に必要なコンセプトを満たした可視化のためのツールである。DTIに対しては、エコーによる深部状態の評価が有用とされているが、画像撮影と判読に高度な技術を要するのが現状である。DTIに対するポイントオブケア超音波を用いたアセスメント方法の確立により、経験や技量によらない正確なアセスメントや在宅での迅速な意思決定が可能となり、適切なケア、早期治癒につながると考えられる。従って、本研究では深度判定困難な褥瘡患者に対し、在宅でニーズが高まるポイントオブケア(患者のそばで直接アセスメント・処置を行う)としてのエコー(ポイントオブケア超音波)によるアセスメント方法を開発し、DTIの早期発見・治癒の実現を目指している。具体的にはエコーを用いた褥瘡のエコー画像判読支援ツールの開発と評価、エコーによる褥瘡の観察技術の看護師向け教育プログラム開発と評価を行う。
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