本研究の目的は、女性潜在看護師のライフスタイルに着目した復職に影響する要因を検証することである。本研究では、女性潜在看護師および女性復職看護師を対象とした無記名自記式質問紙調査を行った。対象者は約1363名(女性潜在看護師約705名、女性復職看護師658名)とし、女性潜在看護師については全47都道府県看護協会、および女性復職看護師については全国の病院から無作為抽出した94病院に協力を依頼した。本研究は、所属機関の倫理審査委員会の承認(20-Ifh-013)を得て実施した。調査内容として、働きやすさは、Human resource managementチェックリストを参考に項目を作成し、全24項目とした。職業的アイデンティティは、佐々木らが開発した看護師の職業的アイデンティティの尺度全20項目を使用した。本研究の回収率は、24.0%で、有効回答率は 93.6%であった。本研究の分析対象者は、離職経験がないと回答した 52 人を除き、女性潜在看護師 60 人、女性復職看護師 194 人とした。女性潜在看護師と女性復職看護師を比較すると、働きやすさ・職業的アイデンティティ合計得点はともに有意な差はみられなかった。女性潜在看護師・女性復職看護師それぞれで、職業的アイデンティティを従属変数として、ステップワイズ法を用いて重回帰分析を行った。女性潜在看護師では、働きやすさ合計得点・年齢・働く目的から職業的アイデンティティへの標準回帰係数は0.1%水準で有意であり、R2は0.34であった。また、女性復職看護師では、働きやすさ合計得点・経験年数から職業的アイデンティティへの標準回帰係数は0.1%水準で有意であり、R2は0.31であった。 本研究では、女性のライフスタイル別の検討に検討を行う予定であったが、コロナ禍でのデータ収集になったことも関連し、ライフスタイル別の検討ができなかった。
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