医療改革により、今まで通りの運営方法では病院が生き残れない時代において、看護職のトップマネージャーである看護部長のリーダーシップは、以前にも増して病院運営に多くの影響を与えており、看護部長は時代のニーズに即した病院組織へと変革していくリーダーシップが求められている。そして、リーダーシップの構築には、警官の意味の探求や失敗からの学びなど「省察的内省」することによって、体得できるとされている。しかしながら、リーダーシップと内省の関係についての実証研究はほとんど行われていない。 本研究は、看護部長の変革型リーダーシップと省察的内省の関係を明らかにすることを目的とし、定量的・定性的調査を実施した。2019年度はリーダーシップ測定尺度(Multifactor Leadership Questionnaire self-form)と省察的内省の尺度(Self-reflection and Insight Scale)を使用し、その関連を調査した。看護部長のリーダーシップと省察的内省の関連について多変量解析を行った結果、変革型リーダーシップの5つの下位因子と省察的内省の2つの下位因子(自己内省・自己洞察)、交換型リーダーシップの2つの下位因子と省察的内省の2つの下位因子に有意な正の関連が認められた。2021年は看護部長20名に対して半構造的インタビューを実施した。得られたデータは質的記述的分析を行った。分析の結果、看護部長は意図的に内省を行っており、日々の看護管理実 践を振り返ることは、看護部長の看護管理実践を高める可能性があることが明かとなった。2022年は、インタビューデータの分析を進め、看護部長は意図的に内省を行い、時には時間をかけながら思考を整理していく様子が読み取れた。日々の看護管理実践を振り返ることは、看護部長の看護管理実践を高める可能性がある。内省を促すものとして、聞いてくれる人の存在だけではなく、書籍の活用も有効である可能性が示唆された。本研究結果を、学会発表も行った。
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