研究課題/領域番号 |
18K17443
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 真弓 関東学院大学, 看護学部, 助教 (60801537)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 長時間労働 / 病棟 / 対策 / モチベーション |
研究実績の概要 |
【調査の概要】主に急性期病院の病棟に勤務中・勤務経験のある看護部長1人、副看護部長1人、師長5人、スタッフ看護師4人の合計11人にインタビュー調査を行った。 【結果】残業時間の程度は病院間や病棟間でばらつきがあった。救急体制の違いや大学病院であるかどうかといった特徴で残業時間の傾向が決まるわけではなく、大学病院であっても超過勤務が多い病院もあればそうでない病院もあった。 長時間労働への具体策として、病院全体の対策では、リリーフ制の整備(病院内での物品配置等の統一・リリーフでも可能なケアの抽出・長期的リリーフ要因の検討)、業務量調査、看護部での各病棟の超過勤務時間の把握及び対策の提案等があった。病棟単位の対策としては、定時間際(あるいは午前午後の複数回)の業務調整・采配、助手・事務員・クラークへの業務移譲、記録の簡素化(重複のチェック)、申し送りの短縮・廃止、指標を用いた看護量の把握等があった。 【考察】長時間の超過勤務が常態化している病棟は、そもそもの仕事量の多さにスタッフ・師長共に疲弊していることが多く、業務量を減らすための実際的な(上記した)対策が必須と考えられた。ただし、どの策をとるにしてもまずは師長が「対策する」と決意することが必要である。超過勤務が常態化している病棟では、対策を行う時間的な余裕がないことが多いが、こういった中でも長期的視野に立って対策を行う必要がある。一方で、そこまで超過勤務が多くない病棟は、残業時間短縮とモチベーションのバランスを考えていく必要がある。モチベーションの観点から見ると、抑圧的に残業0を目指すよりは、超過勤務をするかどうかにある程度の裁量を与えた方が良いと考えられる。 働き方改革の推進によって長時間労働対策に苦慮している病院が増加している中、この調査結果は、効果的な対策のための重要な基盤となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に予定されていたインタビュー調査は、対象人数は当初の予定より少なかったものの、様々な病院に勤務する看護部長・副看護部長・師長・スタッフ看護師にインタビューを行い、長時間労働対策及びその効果の把握と言う目的を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の調査結果を元に、当初の予定通り長時間労働対策プログラムの基盤となる質問紙調査を行う。この質問紙調査は、急性期病院の病棟に勤務する看護師に配布し、リーダーシップや病棟風土、種々の長時間労働対策が残業時間やモチベーション、看護の質に及ぼす影響を調査していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:消耗品費の一部が不要となったため。 計画:次年度調査の費用に充当して使用する。
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