研究課題/領域番号 |
18K17446
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
山中 真 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (30507504)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 看護基礎技術 |
研究実績の概要 |
本年度の計画目標は、本実験の実施と結果の解析としており、目標としていた内容の8割を達成することができた。 主に、診断の信頼性の研究としてベテラン看護師を対象として音の識別実験を行い、ベテラン看護師の聴診による心音識別の診断率を明らかにした。次に、正常な心音と異常な心音の差異をどのように識別しているかについてそれぞれの音の識別時間などからどの部分の音を聞き分けに用いているかについて実験より明らかにした。 これら実験を通じて、得られた結果を、周波数解析よりどの部分の心音の差異をどのタイミングで識別に利用しているのか、またどの部分の心音の違いを診断に用いているのかを開発した周波数解析ソフトを用いて視覚的に提示することが可能となった。これにより、ベテラン看護師が聴診技術を用いて心音を識別する際の特徴を視覚的に提示することができた。研究申請時に目的の一つとしていた解析データの3D化については、ある程度視覚的に3Dで示すことが可能となったが、2D化の画像の方が結果の解析やその提示において見やすいなど一部、結果の提示方法に修正が必要な部分が明らかとなった。 これらの結果を通じて、ベテラン看護師の聴診による診断技術はかなり個人差があり、音そのものを聴くことで心音の違いを診断基準として用いるよりも、音を生じさせる知識をベースとして探索的に心音を用いた診断に結び付けている可能性が示唆された。 次年度は、これら結果を踏まえて追加での実験を行うとともに、結果公表にむけて論文作成と学会発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時における研究計画に沿った形で、研究は遂行できており本年度の目標であった本実験の実施と、結果の分析より一定の成果は得られていると考える。 本年度の研究を通じて、明らかとなった疑問点や問題点を追加実験を通じて検証をおこなうことでより、得られた結果の整合性を高めていくことが必要であると考える。 当初の研究計画では、実際の患者音を用いた解析を計画していたが、患者数の確保や実際に身体的な障害を持つ患者を対象とする際の倫理的課題などより、研究計画の修正が求められる部分が一部ありその点において、当初計画よりも進展に課題があると考える。 しかし、これらについては今後も継続して行うことで実施にあたる理解が得られれば解決される課題であること、実際の人でなくとも学習などにて用いられる身体音によっても十分な差異と特徴を得られていることから、本申請研究における課題遂行において問題はないと考える。以上のことから、本年度の研究状況はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本申請研究の最終年度になることから本年度の研究によって得られた課題や問題点の解決にむけた追実験の実施と、結果の解析。学会などにおける論文投稿や発表などの成果報告を中心として課題遂行に取り組むことを目標としている。 前期の9月をめどに追加での実験と結果の分析を実施し、12月迄を目標として学会への投稿や発表を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度使用を予定していた人件費(謝金)部分において、研究代表者が所属している研究機関における研究費を用いることが可能となり、当初予定していた人件費部分において費用の圧縮ができたため。次年度は、追加での実験を予定しておりいくつか機材における不足があることなどから、これら機材の充足と消耗品の購入に使用を検討している。
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