看護師の持つ実践技術は暗黙知に基づいて形成されるものが多い。このため、熟練者の技術を明確に提示することで、実践技術を平準化することが困難となっている。本調査では、実践技術の一つである聴診技術に焦点を当て、技術そのものの特徴と根幹をなすポイントの可視化を目的とした実験調査を行った。その結果、聴診技術は、音の聞き分けを主体とした単純な技術ではなく、音を基点とした思考過程が必要とされる高度な技術であることを明らかとした。このことは、今までとは異なる視点の教育介入を提示することに繋がる。加えて、熟練者の持つ技術を明確に評価することは、看護師の地位の向上と看護技術の能力評価に繋がる。
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