研究課題/領域番号 |
18K17454
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
久保 仁美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (70813187)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NICU / 退院支援 / 地域移行 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、NICU退院後の児をもつ母親と訪問看護師へのインタビュー調査をとおして、NICU退院時や在宅療養開始時における子どもと家族のニーズや困難および訪問看護師の退院支援に対するニーズを明らかにすることである。さらに、明らかになった内容から、これらを充足する具体的なNICUにおける退院支援内容を検討しNICU看護師に対する支援プログラムを開発することである。プログラムには、子どもと家族と地域での療育を支える訪問看護師の2者のニーズが反映される。このことによって、NICU入院中から退院後の家族の困難を予測し支援することが可能となることが考えられる。加えて、退院後、訪問看護が必要な場合は、退院前より訪問看護師のニーズを調整し切れ目のない地域移行を行うことができる。 R3年度の研究実施計画は、2者のインタビューを終え質的帰納的な分析を実施し論文化することであった。さらに、退院支援プログラムにどのように反映させるかを検討する計画であった。しかし、予定した訪問看護師へのインタビュー調査が感染拡大の影響により中止されたため、データ収集方法を再検討し対面またはオンラインでのインタビューを行うこととした。現在、訪問看護師へのインタビュー調査を実施している。今後、調査対象を広げ、10名程度のインタビュー内容をデータとし、「利用者が在宅療養を開始した直後に困難と感じた内容」や「NICUにおける退院支援に求めること」を抽出する。同様に、NICUを退院した児をもつ母親へのインタビュー調査も順次進めていくこととする。 また、今年度は退院支援プログラムに反映するための基礎資料を収集した。低出生体重児のフィジカルアセスメント(身体的状態の評価)・発達を促すケア・家族支援に関する最新のエビデンスについて情報収集を行った。このことは、インタビューから得られた内容とともにプログラムを構成する要素とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画より遅れを生じている原因として、インタビュー調査方法を再検討したことが挙げられる。感染拡大の影響により、対面での調査が困難となったため、協力施設の追加選定・依頼に時間を要した。また、研究協力者への倫理的配慮として、調査方法を対面またはオンラインでのインタビューを対象者が選択できるよう変更した。 次年度は、まず、現在進行中である訪問看護師へのインタビュー対象者数を増やしていくとともに、得られたデータを質的帰納的に分析し抽象度を高め、この内容を反映し退院支援プログラムの作成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、NICUを退院した児をもつ母親と訪問看護師のインタビュー調査を終了し、インタビュー内容を質的帰納的に分析し論文化を進める。先行研究を概観したところ、感染拡大の影響からオンラインによるインタビュー調査によるデータ収集を行う論文も散見された。本研究においてもインタビュー調査時に、研究協力者が調査方法を対面またはオンラインで実施できるよう選択していただくこととした。 退院支援プログラムを作成については、2019年に公益社団法人 日本看護協会より「NICU/GCUにおける小児在宅移行支援パスと教育プログラム」が発表されている。このプログラムを基に、本研究で得られたデータおよび論文・関連書籍から得たエビデンスを反映させることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は、インタビュー調査対象者(NICUを退院した児をもつ母親と訪問看護師)への調査協力謝金として支出する。 また、インタビュー内容のテープ起こしを外注しデータとする。さらに、発表にかかる旅費や、論文執筆時に必要な抄録の英文翻訳・校正費として支出する。
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