研究課題/領域番号 |
18K17455
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小川 俊子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 講師 (90618133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 口腔衛生管理 / 介護困難 / ゴマ油 / 口腔清拭 / 口腔カンジダ / 口腔粘膜 / 細胞診 |
研究実績の概要 |
日本老年歯科医学会で以下の学会発表を行った。 誤嚥性肺炎のリスクが高い療養者に口腔衛生管理は重要である。ゴマ油は香気があることから、ケアの受け入れが良くなると推測される。食用ゴマ油を用いた口腔衛生管理手法を口腔衛生管理に嫌悪を示す対象者に3 カ月間実施した場合の効果を評価を目的として実施した。 対象はA県内の3か所の精神療養型病床に入院中の介護に嫌悪を示す患者25名。1日5回の食用油を滴下したガーゼを用いた口腔清拭および1日1回のブラッシングを実施した。焙煎ゴマ油(セサミン含有)の使用が8名、ゴマサラダ油(セサミノール含有)が8名、対照として従来のケア(スポンジブラシと水道水使用)を9名の3群に分け実施した。介入期間は2018年9月から2019年2月までの間の90日間であった。評価指標は舌背・頬粘膜の水分量、舌背上の細菌数・カンジダ菌数・緑膿菌数、OHATスコア、頬粘膜の細胞診、食欲の有無・食形態とし、介入前から30日毎に4回評価した。口腔粘膜細胞診の結果を点数化して分析した。 結果として、舌背上水分量・頬内側の水分量はは変化がなかった。口腔乾燥の判定区分では対照群に比べ、正常を示す対象者が2種のゴマ油群で増えている傾向があった。舌背上の細菌数では焙煎ゴマ油群では経時的に減少する傾向にあった。カンジダ菌数は焙煎ゴマ油群で経時的に減少する傾向にあった。緑膿菌は検出された対象者が少なく評価できなかった。OHATスコアでは2種のゴマ油群に改善があった。口腔粘膜細胞診では、対照群・焙煎ゴマ油群は経時的に改善する傾向にあった。食欲については評価が困難だった。食形態について、改善できた対象者がゴマ油群に3名おり、対照群にはいなかった。対象者が少なく、データ収集が困難だった。焙煎ゴマ油を使用する場合、カンジダ菌数を減少させる効果、ゴマサラダ油を使用する場合、食形態を改善させる可能性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年は新たな協力病院を得るために数か所に依頼を行ったが、いずれもマンパワーの不足から協力を断られる状態であった。2020年春より新たに協力のご検討をいただいた得た病院があり、詳細な説明に伺う予定であったが、新型コロナウイルスの流行により、協力依頼を自粛している状態にある。流行の収束が見られない限り外部の研究者が病院でデータ収集を行うことは困難である。 今後は得られたデータを海外に向けて発表するために、投稿、学会発表の準備を行う。すでに海外の学術誌に投稿の準備を進めている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今後病院等の施設に協力の依頼を行うことは社会情勢から難しいと考えられる。これまでの研究成果を広めるために、国内外への投稿・発表を行うことを計画している。 また、ゴマ油の抗菌効果を検証することを計画している。これには、かつて実施していた振盪培養法に加え、ディスク拡散法を用いることと、カンジダや緑膿菌、黄色ブドウ球菌等の誤嚥性肺炎起因菌への多種の細菌・真菌を使用し、評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予測よりも物品購入費が高額になったため、人件費・謝金の支出をしなくて済むよう手配した。このため、4750円が次年度使用となった。この予算は文具等の消耗品の購入に充当する予定である。
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