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2018 年度 実施状況報告書

成熟を妨げずに再発を予防する褥瘡治癒部局所ケアのイノベーション

研究課題

研究課題/領域番号 18K17456
研究機関東京大学

研究代表者

浦井 珠恵  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (20808670)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード褥瘡 / 再発予防 / 局所ケア / 摩擦 / ずれ力 / 瘢痕 / 創閉鎖 / リモデリング
研究実績の概要

褥瘡の創閉鎖部における再発を防ぐため、創閉鎖部のリモデリングを経時的に観察する必要がある。リモデリングの評価方法としては、組織を採取して観察する組織学的手法が望ましい。しかし組織学的手法は侵襲を伴うため、リモデリングを経時的に評価する方法としては不適切と言える。そこで本研究では、第一段階として実験動物で創閉鎖部のリモデリングの過程を組織学的に明らかにし、動物実験の結果をもとにリモデリングの過程を評価可能な項目(バイオマーカー)を決定する。その後、第二段階では非侵襲的に蛋白を吸着し分析可能なスキンブロッティングを用いて当該バイオマーカーを経時的に測定する臨床調査を行うこととした。
初年度は、実験動物を用いた皮膚全層欠損創の瘢痕モデルの開発ならびにリモデリング過程を評価可能なバイオマーカーの探索、褥瘡再発モデルの開発を行った。創作製による侵襲の大きさを配慮した上で、瘢痕組織のサイズが最大となる瘢痕モデルを作成することを目的とし、動物種・創形・創サイズ・副子使用の検討を行った。完成した瘢痕モデルは、雄性SDラット(6ヵ月齢)に1辺1.0 cmの四角形の皮膚全層欠損創を作製し、創傷被覆材としてハイドロコロイドドレッシング材を貼付した。創収縮を最小限とするため、創周囲に板状皮膚保護材を貼付した。なお、瘢痕モデルの上皮化完了日は創作製後10日目前後である。上皮化完了後数日経過した創作製後14日目は、臨床での治癒判定時点の創閉鎖部を模していると考える。創作製後7日目から創作製後28日目までの組織を経時的に比較することで、リモデリング過程を評価可能なバイオマーカーを探索している。また、同じ時間・同じ力で瘢痕モデルを圧迫した際、リモデリングの進行の違いによって圧迫後に生じる組織損傷の面積や深達度が異なるかの検証も現在進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、実験動物を用いた皮膚全層欠損創の瘢痕モデルの開発ならびにリモデリング過程を評価可能なバイオマーカーの探索、褥瘡再発モデルの開発を計画した。初年度終了時点の進捗状況として、瘢痕モデルは完成し、現在はバイオマーカーの探索ならびに褥瘡再発モデルの開発を進めている段階である。しかし、褥瘡再発モデルの圧迫実験は既に終了し、圧迫後の組織の組織学的評価を残すのみであるため、褥瘡再発モデルもほぼ完成していると言える。バイオマーカーの探索に関しては、候補のマーカー5種類の発現を比較している状況であり、段階的に実施できている。以上より、研究は順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

「褥瘡の創閉鎖部におけるリモデリング過程の経時的評価」
療養病棟を有する一般病院で前向き調査を行う。調査施設の褥瘡対策チームでフォローし、DESIGN-Rが0点となることで治癒と判定した入院患者を対象とする。治癒判定後1週間以内にリクルートする。調査は1週間に1回の頻度で、デジタルカメラによる写真撮影ならびに褥瘡の創閉鎖部にメンブレンを貼付することで創閉鎖部組織の蛋白を非侵襲的に採取する。褥瘡が再発しなかった場合、調査開始から2ヵ月をもって調査終了とする。メンブレンは初年度の実験結果で褥瘡の創閉鎖部のリモデリング過程を評価する上で有用であると評価したマーカーで染色する。2ヵ月間のマーカーの経時的な推移は、初年度の瘢痕モデルによる結果と比較し、褥瘡の創閉鎖部のリモデリング過程をスキンブロッティングで検出できるかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

バイオマーカーの探索ならびに褥瘡再発モデルの組織学的評価を初年度中に終えることができなかった。そのため、初年度の余剰金はバイオマーカーの染色ならびに褥瘡再発モデルの組織学的評価で使用する試薬の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 超音波診断装置およびスキンブロッティングを用いた褥瘡の創閉鎖後の器質的・機能的組織変化の検討2018

    • 著者名/発表者名
      浦井珠恵、仲上豪二朗、峰松健夫、藪中幸一、田端恵子、須釜淳子、真田弘美
    • 学会等名
      第20回日本褥瘡学会学術集会
  • [学会発表] 褥瘡の創閉鎖部への予防用ドレッシング材貼付により再発予防に繋がった症例:超音波診断装置を用いた創閉鎖後の修復過程の観察2018

    • 著者名/発表者名
      浦井珠恵、仲上豪二朗、藪中幸一、須釜淳子、真田弘美
    • 学会等名
      第6回看護理工学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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