研究実績の概要 |
ネガティブな感情を抑制するタイプDパーソナリティ(以下,タイプD))は冠動脈疾患(以下,CAD)と有意に関連する。抑うつやタイプDのCAD患者は死亡率が高いが,患者の精神面の評価や介入は十分に行われていない。そこで,CAD患者の抑うつと関連するコーピング方略と,タイプD患者のコーピング方略の特性を明らかにすることを目的とした。 CAD患者89例を対象に,Type D personality Scale, Tri-axial Coping Scale 24, Self-rating Depression Scaleを用いて質問紙調査を行った。抑うつを従属変数,コーピング方略の下位尺度8項目の得点と,タイプDを独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。また,タイプD例とNon-Type D例のコーピング方略の下位尺度得点をMann-WhitneyのU検定で比較した。 対象は,平均64.4±10.4歳,男性79例(88.8%),タイプD40例(44.9%),抑うつ49例(55.1%),急性冠症候群46例(51.7%)であった。抑うつと関連する因子は,「タイプD」(OR = 3.08,95%CI=1.17-8.10)と,コーピング方略の「計画立案」(OR = 0.72,95%CI=0.58-0.88)であった。また,タイプD例はNon-Type D例よりも,「計画立案」が有意に低値であった(9.70点±2.96 vs. 11.08点±2.64, p<.05)。 上記の内容を2019年度第83回日本循環器学会学術集会で発表を行い「コメディカル奨励賞」を受賞した。論文についてはIFのついた英文雑誌に1編は論文投稿を行い査読中である。もう1編の論文は投稿準備中である。
|