本研究では、タイプDパーソナリティの冠動脈疾患患者の抑うつに対するコーピング方略の内容を明らかにし,タイプDの急性冠症候群患者の抑うつを改善する個別的なコーピングの指導を見出すことを目標としている。最終年度は、論文を作成し、現在査読中である。内容は、冠動脈疾患患者の入院中のどのようなコーピング方略が退院9ヶ月後の抑うつ傾向の低減に影響があるかを分析した。またタイプDパーソナリティの抑うつへの影響も分析した。年齢、性別、抑うつ傾向の有無で調整したロジスティック回帰分析の結果、計画立案 のOR 0.8のみが有意であった。入院中に行う抑うつの低減を目的とする介入において、計画立案の内容である、事前に計画をたて、ストレスを回避するような行動をとれるようにすることが必要であることが示唆された。 また、これまでの研究においては、入院中の冠動脈疾患患者とタイプDパーソナリティ、コーピング方略との関連においては、コーピング方略の一つである「放棄・諦め」とタイプDパーソナリティが抑うつと正の関連があった。 また、退院1ヶ月後では、「計画立案」が抑うつと負の関連があり、タイプDパーソナリティが正の関連が、認められた。そのため、入院中の「放棄・諦め」のコーピング方略を「計画立案」に変更することで抑うつを低減できる可能性がある。またタイプDパーソナリティの評価を早期に行い、抑うつを罹患しやすいことを認識して介入する必要性が示唆された。上記の論文はすでに投稿し、受理されている。
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