本研究の目的は、看護師の経験や情報内容が“非注意による見落とし”現象にどのように影響をしているかを明らかにすることである。医療の高度化・患者の高齢化、入院期間の短縮等に伴い看護師は患者の状態を素早く的確に観察できる高い観察力とともに、観察したことを的確にアセスメントし患者に必要な援助を判断して実施する臨床実践能力が求められている。しかし、医療の現場では常に状況が変化し、医療事故やヒヤリ・ハットが生じやすくなっている。これらの要因として「観察の怠り」が上位に挙がっており、観察力を高めるとともに「見落とし」を客観的にし、対応する必要があると考える。 平成30年度は、臨床現場で“非注意による見落とし”が起こりやすい場面を設定するために、より臨場感を持たせるために病院で勤務する看護師に情報収集を行うための調整を行った。しかし、病院での調整に時間がかかり打ち合わせを行うまでに至らなかった。 看護師が予期していない“非注意による見落とし”現象のようなヒューマンエラーを客観的に示すことにより医療事故を防ぐための教育方法を検討を行った。看護の臨床場面は実際に繰り返し経験することは難しく、ビデオ映像などでは臨場感が乏しくなる。そのため、臨場感を感じやすいバーチャルリアリティ(VR)技術の活用に関する研修会に参加したり、VR目視学習システムに関する情報収集を行い、学習者が臨場感を経験しやすい教育方法の検討を行った。
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