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2019 年度 実施状況報告書

組織学的評価に基づくパーソナライズな耳介矯正装具の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K17471
研究機関金沢医科大学

研究代表者

宮永 葵子  金沢医科大学, 看護学部, 助教 (80782367)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード先天性耳介奇形 / 耳介矯正装具 / 可塑性樹脂 / 耳介軟骨厚
研究実績の概要

本研究の目的は、折れ耳や埋没耳などの先天性耳介奇形を矯正するための安全で安心な耳介矯正装具を開発することである。今年度は既に耳介部の矯正に用いられている可塑性樹脂を使用し、本来の耳介を曲げ、耳介に及ぼす影響を基礎的に検証した。ウサギ4羽を使用し、片耳を実験群、もう片耳を対照群とした。実験群はウサギ耳介部を折り曲げ可塑性樹脂で固定し、対照群は固定しなかった。固定3か月後に弯曲させた耳介組織を採取し、同部位に対照的な部位を対照群から採取した。HE染色にて軟骨厚、皮下組織厚、表皮層厚を測定し、免疫染色(CD31)により血管数を計測して比較検討した。
結果:湾曲した部位の軟骨の厚さは増大しており、ランダムに6カ所の軟骨厚を測定すると、実験群:550.5±266.8μm、対照群:142.8±8.1μm(p=0.004)であった。耳介皮膚の表皮厚は実験群が有意に肥厚しており、それは湾曲した耳介の凸面や凹面でも同様であった(凸面:p=0.003, 凹面:p<0.001) 。また、弯曲された耳介の皮下組織は炎症細胞の浸潤が認められ、皮下組織厚は実験群が有意に肥厚していた(凸面:p<0.001, 凹面:p=0.002)。また同様に血管数も実験群が有意に増加していた(凸面:p<0.001, 凹面:p<0.001)。
可塑性樹脂で耳介部を折り曲げ固定することにより、対照群と比較し実験群の耳介軟骨・表皮・皮膚皮下組織が肥厚し、血管増生が認められた。矯正装具により耳介軟骨を矯正する場合も同様の変化が生じることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度に予定していた動物実験を開始し、組織学的な検証を進めることができたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

継続して動物実験を実施し、さらに対象数を増やし組織採取期間を細かく設定し、軟骨増生過程の詳細を観察する。固定する素材は可塑性樹脂の他にワイヤーを使用し耳介部の軟骨増生を阻害しない素材を明らかにする。可能であれば、その素材を用い矯正装具の試作品を作製する。また、装具により湾曲した耳介軟骨が、装具を外した後にどのような経過をたどるかも合わせて明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

学会等が一部中止になったため次年度使用額が生じた。次年度に実施する動物実験の材料や試薬費として使用する。

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公開日: 2021-01-27  

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