研究課題/領域番号 |
18K17471
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
宮永 葵子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (80782367)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 先天性耳介 / 耳介矯正装具 / 耳介軟骨 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、折れ耳や埋没耳などの先天性耳介奇形を矯正するための安全で安心な耳介矯正装具を開発することである。昨年度は既に耳介部の矯正に用いられている可塑性樹脂を使用し、本来の耳介を曲げ、耳介に及ぼす影響を組織学的に検証した。結果、彎曲部の軟骨、皮下組織が肥厚し、周辺組織の血管数が増加した。このプレ実験の結果をふまえ、今年後は生後4~20週(人間の12歳以下)のウサギを対象に、耳介部を彎曲固定させ、固定解除後の耳介角度の変化を調査した。彎曲固定の方法:①耳介部の直径を計測、半分の部位をマーキング、②マーキングした位置で耳介部を外側に折り曲げる、③ 耳介部のサイズに合わせて3つ折りにした可塑性樹脂(アクアプラスト-T,坂井医療㈱)で耳介部を湾曲固定した。実験群には、1週間彎曲固定し解除する1週間固定群(n=4)、2週間彎曲固定し解除する2週間固定群(n=4)を作成し、固定しない群(n=4)を対照群とした。分析方法は、ウサギの耳介部を立たせ、正面からカメラで撮影し、彎曲度を毎週計測した。彎曲度を実験群と対照群で比較した。耳介部を外側に彎曲させるため、角度が小さいと外向きに彎曲しており、角度が大きいと内向きに彎曲していることを現す。結果、耳介彎曲度の平均値と標準偏差は、対照群が201±9.4度に対し、1週間固定群は、固定解除日25.3±12.2、1週間後165.3±41.8、2週間後167.0±46.1、3週間後213.0±22.3度であった。2週間固定群は、固定解除日32.83±19.5、1週間後136.0±79.3、2週間後143.5±73.5、3週間後180.5±57.8度であった。1、2週間装具を装着し耳介部を外側に彎曲固定させても、固定解除後は徐々に内向きに戻り、3週間以降の角度の変化はなかった。今後、耳介軟骨と皮下組織の変化を組織学的に調査する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、耳介矯正装具の安全性を動物実験により検証できているが、試作した装具の装着感に関する調査に着手できていないため、研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
現在行っている耳介部を彎曲固定させた場合の組織学変化を調査するとともに、彎曲固定期間をさらに長期にした場合も含めた検討を行う予定である。同時に、試作した矯正装具を児に装着させ、装着感を調査する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により参加を予定していた学会がオンライン開催となり、その旅費の支出を行わなかった。また実験器具等の費用が予定よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。 現在実施している動物実験を継続するため、実験動物や試薬の購入等に使用する予定である。また、本研究結果を英文投稿するための翻訳、投稿費用に使用する。
|